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逃げる。
久しぶり

鳴海に手を引かれながら、3-Zを目指した。

何やら騒がしく、教室まで来れば声が聞こえてきた。

『てめぇ花房!
引退して名前の通りに頭に花でも咲いたのか?
朝聞きつけて来てみれば、あの面倒くさがりが教室で寝てねぇなんて…。
何か言われたからだろぉが!
そんな事ならこれから彼奴に近付くんじゃねぇぞ。』

『うっせぇんだよ。
あたかも自分のもんの様に言うじゃねぇ。
あの糞にも役に立たない役員を葵の下につけやがって、お前の教育不足の方が笑えるわ。』

なおもギャーギャーと騒ぐ声が誰かは鳴海も葵もわかった。

「なんで…イッチー先輩?」

葵の呟きに鳴海は苦笑する。

「心配して来たんだろ。
彼奴が動くのはお前の事だけだからな。」

葵は意味が理解出来ないで首を傾げたが、鳴海が扉を開けようとしたのでまぁ良いかぐらいで疑問を捨てた。

ガラッと開ければ、鳴海に注目がむく。

「お前等ギャーギャーと朝から騒ぐんじゃねぇ。」

鳴海が面倒くさそうに言えば、弥彦が眉間に皺を寄せて噛み付こうとした。

だが目的の葵が鳴海の後ろからヒョコと顔を出せば口を閉じてホッとしたようだった。

葵自身は一夜と弥彦を見て姿勢を正して頭を下げた。

「先輩方の努力を壊してすみませんでした。」

葵の言葉にクラスは静まり返り、一夜と弥彦は葵の側に行って頭を2人で撫でた。

葵は頭を上げてキョトンとすれば一夜も弥彦も辛そうに泣きそうに顔を歪めていた。

「イッチー先輩…ヤッ君…?」

その呼び名を呼んでくれる事に2人は安堵して一夜から声をかけた。

「お前が謝る事はねぇよ。
勝手にお前をトップに押し上げながらも、お前を見なかった周りが悪い。

そして、お前を助けてやれなかった俺も悪ぃ。」

「俺もこいつもお前の状況を知りながら動けなかったんだ。
お前を一人で戦わせた…すまなかった。」

ワイルド美形の弥彦に、王者の風格に誰もが見惚れるほどの顔を持ち俺様何様一夜様が、捨てられた大型犬の如くションボリしている姿に、藍と鳴海は笑ってしまい。

葵は困り顔で2人の手を引いた。

「イッチー先輩、ヤッ君。
心配かけてごめん。でも、心配してくれてありがとう。」

葵はこの学園での味方は剛士と鳴海だけだと思っていたので、純粋に他にも自分を気にかけてくれる人が居てくれた事が嬉しくて、普段無表情で見れない綺麗な笑顔を見せた。

一瞬で無表情に戻ったが威力は十分でクラス中真っ赤な顔をしていた。


そんな中で葵のお腹が盛大になって皆がガクッとした。

葵は頭をポリポリかいた。

「…昨日の昼から何も食べて無かったから、流石にお腹空いたかも…。」

そんな葵の言葉にクラスは驚愕な表情をして鳴海は葵の後頭部を叩いた。

「…お前…。生活を戻せよ。
痩せすぎ。食って寝ろ。
他のクラスは授業中だろうし、今の内に飯食ってこい。」

鳴海の教師らしからぬ言葉に葵は頭を撫でながらも軽く頷いてスタスタと歩き出した。

その後を当たり前のように一夜と弥彦、そして藍がついて行ったのには誰もが苦笑した。



[*退避しろ][ちょっくら散歩#]

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あきゅろす。
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