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逃げる。
2

葵は檸檬と別れてZクラスが入っている別棟に向かった。

Zクラスとは各学年人数が少ないながらもヤクザやマフィアの組員の息子や次期頭、不良など危険視されたものが入るクラスで、家柄は一般とはいえ裏世界とは無縁の葵が入るのは異例だった。





葵は真っ直ぐ2-Zへ向かう。

教室に向かう途中1年のクラスから凄い視線を向けられていたが、葵は気にする事無く2年の教室に入って行った。

教室に入れば不良クラスのわりに全員が席についていた。

そして不躾な視線を葵にむけた。

空いている席を見つけて、近づき隣に座る男に葵は声をかけた。

葵が声をかけたのは河合組次期後継者の河合春馬。学園でも有名で恐れられている。
このクラスの頭のようで葵が臆する事無く声をかけた事で周りがざわついた。

「今日からこのクラスに世話になる安藤葵だが、この席についたら良いのか?」

すると、春馬はニヤリと嫌な笑みを浮かべて立ち上がって葵に顔を近づけた。

春馬は強面ながらワイルド系の美形で金髪にカラコンをいれた赤い瞳がギラギラしていた。

「天下の生徒会長様が落ちぶれたもんだな。」

春馬の言葉にも葵は怯む事も目を逸らす事も無く人の瞳の色では珍しい、青みの強い紫色の瞳で春馬を真っ直ぐ見ていた。

我慢が出来なかったのか、欠伸を小さく漏らし面倒くさそうに春馬を見返した。

「天下なわけないだろ。
あんな雑用係の様な席。拒否したが理事長と教師にも頼まれたからついていただけだ。

こっちからしたら、良い迷惑なんだよ。俺は三ヶ月不眠不休で疲れてまだ眠いんだ、早く席について寝たいんだが席はここで良いのか?」

葵の言葉に春馬は驚いて声を出そうとしたが、周りの下っ端が葵の態度を見兼ねて声を荒げた。

「てめぇの席なんざあるわけねぇだろが!
三ヶ月不眠不休でセフレと遊んでたんならそいつの所で永遠に遊んでろ!」

その言葉が決定打となり、葵は一歩踏み出し教室から出ていった。



[*退避しろ][ちょっくら散歩#]

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