沢山の愛を
2
部屋につけば兎羽真の友人であり親衛隊隊長が一を待っていた。
「何故、倒れるまで放置した…」
「御宅の副委員長にまで邪魔されたら俺達に手の出しようはなくなるのわかるでしょ。
副委員長があんたに好意をもっていてウサを目の敵にしてんの知ってんだろうが。」
舌打ちをしながら一を睨む。
「…ウサは倒れたんじゃなくて壊れちまった。
俺さえも側に近寄らせねぇ。」
「…どういう事だ?」
「幼児返りって奴だ。
誰の事も覚えてねぇ。ハジメちゃんは何処ってずっと言ってる。
早く行ってやってくれ。」
一は唇を噛み締めて、部屋の中に入った。
そこにはノートにクレヨンでラクガキをする兎羽真がいた。
「兎羽真…。」
一の声で振り返った兎羽真はキョトンとした顔で首を傾げた。
「お兄ちゃんだぁれ?」
その言葉に泣きそうになった。
「お兄ちゃん、ハジメちゃんに似てるね。ハジメちゃんも赤い髪に金色の綺麗な目をしてるんだぁ。
僕の大好きなカッコ良いお友達なの。
ここ、知らない所で凄く嫌なんだ。
皆、怖い目で僕を見るんだ。
ハジメちゃんと一緒に早く帰りたい。」
一は兎羽真を強く抱き締めた。
そして、兎羽真の目を見て語りかけた。
「兎羽真…良く聞くんだ。
兎羽真は本当は17歳なんだ。お前と友達の一は俺だよ。」
「お兄ちゃん何を言ってるの?」
一は兎羽真を抱き上げて、洗面所に連れて行った。
兎羽真は目を見開き驚いた。
そこにいるのは、話してくれているハジメちゃんそっくりのお兄ちゃんと見覚えのある銀髪に赤い瞳の男の人がいた。
「あ、れ?ぼ…く?」
「そうだ。兎羽真。
俺の神崎一の大切な幼馴染の、風宮兎羽真だ。」
「っっ!!!」
兎羽真は頭を抑えて一の腕の中に顔を埋めた。
一は優しく頭を撫でながら兎羽真がおちつくのをまった。
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