皆さん静かにお願いします。
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学園についてバイクを旧武道場にとめて2人で教室に向かう。
光輝はこの金持ちの子息が多く通う学園で家柄、成績を兼ね揃えたトップのSクラスであるが、魅夜は天涯孤独の身ながら高校は卒業しておきたくて、特待生ならば学園生活において全てのお金を負担してくれるこの学園を選んだ。その為、頭は申し分無いが不良と言われる為に最後尾のクラスFクラスに入っている。
まぁ。魅夜は一切気にしてないのだが、玄関先から全てのクラスの前を通らなくては行けないのが面倒くさいのがネックだ。
2人が室内用の靴に履き替え歩き出すとザワザワと周りが騒ぎ出した。
「きゃゃゃゃゃやぁ!!!」
「片桐様に、さ、桜木様がいらっしゃる!!」
「ちょっ!何ヶ月ぶり!!」
「片桐様抱いて下さい!!!」
「桜木様カッコ良い!!」
「いや、綺麗だろ!」
「抱いて下さい!!!」
「いや、抱きてぇ!!!」
三ヶ月ぶりの魅夜の姿に歓声があがる。魅夜は溜息をついて、光輝は青筋を立てて周りにガンを飛ばす。
その時、光輝のクラスである2-Sの前でグッと腕を掴まれて振り返れば昨日別れた恋人の姿があった。
「本当にこの学園の生徒だったんだ。」
魅夜の声に龍騎はグッと眉間に皺がより、周りを威嚇していた光輝は焦って振り向いた。
「知らなくて当然だ。魅夜がこの学園に興味を示す事はないからな。
だが、俺という八神龍騎という人間にはずっと興味を持て。」
龍騎の言葉に周りがざわめく。
「あの2人付き合ってるの?」
「でも、八神様のセフレは沢山居るんでしょ?」
周りの言葉にセフレ達が青い顔をして心配そうに2人を見る。
魅夜はいつもの様に表情は変わらない。
「まぁなんでも良いんだけど、俺はお前への感情は何もない。
怒りも、悲しみもとっくに消えた。
お前に抱かれる喜びや、一緒にいる楽しさなんかは随分前に消えた。
俺は何度もお前に頼んだはずだ。
他の奴を抱かないでくれと、その度にお前は『俺だけを愛している。』と言った。
その度に裏切ってきたのはお前だ。
今更戻ったって、そこらで青ざめて見ている奴らをまた家に連れてきて俺の前で抱くんだろ?
辞めてくれ。
俺は表情が乏しいが、感情はある。
お前と一緒にいて取り戻せそうだった物は、お前の手によって消え失せた。
これ以上俺の感情を無くすんじゃねぇよ。
お前はいつも通り、そこにいる奴らを可愛がってろ。」
魅夜は冷たく言って腕を振り解き自分の教室に向かう。
追いかけようとした龍騎の前には光輝が立ちはだかった。
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