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ゆるゆる
2

午後の仕事が終わる頃に政宗から声がかかる。

「愛夢。野外ステージに向かってくれ。」

その言葉に愛夢は頷いて答えた。
もちろん、愛夢に何かあってはいけない為に誉が愛夢について行く。

体育館を出て野外ステージの作られているグラウンドに向かう。

ステージ上からデザイナーである八神愛華の怒声が響く。

「こらぁ!!そこの姫川!!その顔色といいウォーキングといい舐めてんのか!?」

「だ、だって今日はあの人が来るって言うから…。」

「てめぇ。彼奴の女か?
言われた筈だ。遊びの時間は終わったと。」

「そうよ!だから、愛夢って奴を探しにきたのよ!!」

その言葉に愛夢は目を見開いた。

「お、れ?」

その声は女に聞こえたらしく、狂った目をしながら引きつった笑顔で愛夢をステージ上から見下ろしていた。

誉がとっさに前に出る。
愛華は愛夢に気付いて女を見ればナイフを取り出していた。

愛華は女を背負い投げで投げ飛ばし拘束して警備を呼んだ。

そして女を踏みつけながら声をかける。

「てめぇの逆恨みに私の可愛い息子を巻き込むんじゃねぇ。
てめぇは追放だぁ。覚悟しろよ。」

その言葉に女は顔を真っ青にする。
その時に愛夢が駆け寄る。

「母様待って!!」

女は驚いた。刺そうとした自分を愛夢は抱きしめて庇っていたのだ。

「同情なんていらない!弥彦様に愛されてるあんたなんて消えたらいいのよ!!」

と発狂した。だが、愛夢は優しく微笑んで抱きしめて背中をさすってくれていた。

「うん。貴女は本当に弥彦が大好きだったんだよねぇ。」

その言葉に涙が溢れた。

「そ、そう、よ!その、気持ちは誰にも、負けない、わ!!」

「うん。」

「あんた、にも、負け、ない!」

「うん。」

「弥彦、様を、幸せに、して、あげてよ。」

「うん。俺と君との約束。」

「もぅ。余所見、しないで、あげて。」

「うん。」

「弥彦、様は、貴方、以外、見ていなかった。」

「うん。弥彦は俺の特別。
俺は弥彦の特別。大切にするよぉ。」

「あり、がとう。」

彼女の言葉に離して何時ものフワフワの笑顔で母である愛華を見た。

「母様。俺のお願いわかるよねぇ。」

「ちっ。仕方ねぇ。
おい。姫川。お前モデルの愛を尊敬してんだろ?」

イキナリの問いに頷く。

「愛が男なのは業界でも有名な話だ、今日はお披露目なんだよ。」

その言葉にハッとして愛夢を見つめると愛夢は微笑んだ。

「初めましてぇ。少し家から離れたくて正体隠してこの学園通ってる。本名は八神愛夢。モデルの愛ですぅ。」

愛夢のキラキラの笑顔に真っ赤になって涙があふれた。
尊敬して、憧れていた人を傷つけてしまうところだったのだ。

「ごめ、んな、さい。」

女は精一杯謝罪した。




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