[携帯モード] [URL送信]

小説
弱い心(主直)
奈々子が誘拐されて、遼太郎さんは事故で入院、
奈々子を助け出したが、容態が急変し、心停止した。
奈々子を誘拐した犯人である生田目の病室で、
俺は、自分でも怖いくらいに冷静に、
「まだ、何かが引っかかる」と花村達が生田目をTVへ落とそうとするのをなんとか止めた。

病室を出た深海達に、看護婦が息を切らしながら近づいて
「あなた達さがしたのよ!早く奈々子ちゃんの病室へ来て!」

その場に居たみんなは、急いで奈々子の病室へ行った。
すると、医者から、
「奇跡的に奈々子ちゃんが息を吹き返したんです。」

それを聞いた陽介達は、皆,口々に良かったっと呟いた。
千枝や雪子たちは、良かったほんとに良かったと涙を流していた。

深海も、涙が出そうになるがぐっと堪えて医者の話を聞いた。
「ただ,現状予断は許しませんが、一先ず様子を見ると言う事で、明日にでも堂島さんと話をするので、もう遅いし君たちは帰りなさい。」
医者に言われ、みんなはその場をあとにした。


商店街で、明日の行動予定を決めて、それぞれ家に帰る事にした。

みんなが去ったあと
深海だけが、その場で立ち止まり空を見上げていた。

(あの時みんなを止めて、本当にこれでよかったのだろうか?)と自問自答する。
(俺どこかで、タフガイや豪傑なんて言われてるけど、ふふっ情けない)と深海は自分の右手に目を落とし見つめた。

深海の右手はブルブル震えてる、その手を、おさまれっ落ち着けと左手でぐっと握った。

すると、落とした目線に人影が視界に入ったので、顔を向けるとそこに神妙な面持ちの直斗がいた。
「あれ、直斗、りせと一緒に帰ったんじゃ」

俺は、動揺してるのを悟られないように、右手をポケットに入れて何でも無いような平気そうな顔をを作った。

「ええ、久慈川さんを送ってから、先輩の事が気になって引き返したんです。」

「えっ、なんで?俺は大丈夫だよ、こんな遅い時間だし送って行くよ、さぁ帰ろう」と直斗の手を取り歩こうとすると

「いえ、僕が先輩を送っていきますよ」

「何言ってる、もう夜中の12時回るしそんな時間に直斗一人を歩かせれない、俺が送るよ」
強引に手を取り歩を進めた。

直斗の家に向かいながら、俯いてしゃべらない直斗が気になり
「なんで、わざわざ戻ってきたんだ。」

すると、繋いだ手にぎゅっと力が入り、直斗は
「すみません。僕があの時TVがあるなんて言ったから、先輩を困らせてしまったんですよね。」
すみませんっと肩を震わして言った。

「何を言ってるんだ。そんな事は関係ない。直斗が気にすることない。」
そう言って、繋いだ手を離し、直斗の肩へとまわし抱き寄せて
「大丈夫だよ、俺は、何も困ってない」と微笑んだ

二人は体を寄せ合って、そのまま黙って歩いていった。



直斗の家に着いて、(じゃ、お休みまた明日)と言って帰ろう、と思った俺の口からは全く違う言葉が漏れた。

「直斗、今晩一緒に居てくれないか?」

何言ってるんだ俺は、(今の冗談)って言おうと口を開けかけた時

直斗は、背を向けたまま
「いいですよ、暖かいココアでも入れますよ。どうぞ。」

直斗は、深海を家へと招き入れたのだった。

二人は恋人同士だけど、いつもなら、「駄目です!何言ってるんですか!」って言うのに何故?と思いながらも招かれるままに直斗の家へ上がった。

深海は、直斗の部屋で、俺本当にここに居ていいのだろうか?直斗は嫌なんじゃ、生田目の病室での事を気にしてるんじゃと思い。

「直斗いいのか?さっきの言ってた事を気にして言ってくれたのだったら、俺帰るよ」

何もしないけど、本当にいいのだろうか?と思い、俺は直斗の入れてくれたココアを飲んだ。

「いえ、その事はさっきの梗さんが答えてくれたので。ただ・・いえ何でもありません。」

直斗は、一度言葉を区切ってコクっと一口ココアを飲んだ

「梗さん寝るときどうしますか?私のじゃサイズ合わないし」

「ああ、それはいいよ。学ランだけ脱いでこのままで、じゃないと直斗も困るだろ。」

それを聞いて直斗は、顔を紅くて俯いた。
そんな直斗を見て、もっと困らせるかも知れないケド、俺は思い切って言うことにした。

「ただ、一緒に寝て欲しいんだ、駄目?」

直斗は、びっくりした様で益々顔を紅くしたが、嫌とは言わなかった。


直斗は先にベットに入って、俺に背を向けて横たわり。
俺は、学ランと靴下とスラックスのベルトだけ外し、カッターシャツの前ボタン数段外し、その隣へもぐり込んだ。

そっと左手で、直斗の腰を抱いて、右手は腕枕、一瞬直斗の体がビクっとした。

俺は、暖かい直斗の体を抱いて、ほっとした。

このまま何も言わないのは卑怯だよな、ちゃんと今の俺の気持ち言わないとっと思いポツリポツリと話した。

「本当はさ、俺大丈夫じゃなかった、誤解するな、直斗がTVの事言ったことじゃない、生田目の病室で、マヨナカテレビを見て生田目が許せないと思った、怒りと悲しみで体が勝手に動きそうだったんだ、
あの時、誰かが言ってなかったら、俺が落としていたかもしれない、
TVに落とすと、陽介達が感情的に言ってる姿が見えて、逆に何故か冷静に頭が働いたんだ。自分でも驚いたよ。」

すると深海の右手に直斗の手が握られた。ほっとして深海は、言葉を続けた。

「みんなと解散した後、自分の判断は間違ってなかったのかと不安に思った、
そんな思いのまま俺は家に戻るのが嫌だったんだ、一人で居たくなかった、奈々子と遼太郎さんが居ないあの家に。」

俺は直斗に話ながら、自分が何故≪一緒に居て欲しい≫と言ったのか分かった。
二人が居なくて、一人と言う事に怖くなったのだ、そう自覚して、ぎゅっと直斗の手を握った。

「でも、どうして直斗は戻って来たの?俺そんなに思いつめた顔してた?」

直斗が、握ってた手を離して体の向きを深海の方に向けた。
下から見上げるように深海の顔を見て、綺麗な直斗の瞳が深海を見つめた。

「いえ、梗さんはいつも通りの表情と態度でした、でも、私にはそれが必死にいつも通りに振舞おうとしているように見えたんです。」

直斗のちいさな手が、深海の頬に添えらた。

「そっか、直斗には全部お見通しか、まいったな。他の仲間にもバレテルかな?」

そう言いながら俺は、俺の頬に添えらた手をそっと取り、手を絡めた。
暖かい直斗の手の温もりを感じ一人ではないと感じた。

「それは、無いと思います。花村先輩は、まだ憤慨して興奮してましたし、他のみんなも今日の事で疲れきってましたから。」

直斗は、恥ずかしそうに頬を紅く染めながら優しく微笑み、深海を見つめていた。
俺は、絡めた直斗の指に軽くキスをして

「そうか、直斗が言うんだから大丈夫だな、ばれたのは直斗だけでよかった。今日は、直斗のおかげで久しぶりにゆっくり寝れそうだ。ありがとう」

心地良い暖かさと、自分の事を受け入れてくれた直斗に安心したのか、深海は瞼をゆっくり閉じた。

「奈々子ちゃんも、堂島さんも元気になりますよ、梗さんは一人ではありません、私がいます。」

そのやさしい声に誘われて、深海は久しぶりに深い眠りに落ちていった。








≪あとがき≫
生田目病室で、endを何回したことか(;_;)
あまりの衝撃に、マジへこんでしっまった〜
何回目かでようやく、奈々子ちゃん復活で狂喜乱舞しました!
なので、主人公もこうではないかと妄想してしまいました。

[*前へ][次へ#]

6/52ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!