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小説
銀と金(主+他)
〈anの想像でこんなのもしかしたら、なんて思い書いてみました。
付けてるペルソナこの時期には早いですが、ここは大目に見てやってください。(^_^;)
時期的には奈々子ちゃん救出後ぐらいかな〜って。〉




何もないだだっ広い空間に一人の少年が倒れていた。


うっとうめき声を上げて少年は目をゆっくりと開けた。
倒れている少年は、自称特別捜査隊リーダーの深海である。

(あれ、ここは・・・、俺どうしたんだっけ?)
深海はボーっとした頭でしばらく呆然と天を仰いで考えた。
(あっそうだ、確か俺の家で居間で直斗と話しをしてて、突然テレビに引き込まれたんだ。)
深海は立ち上がろうとしたが、体が言うことをきかず。
仕方なく首だけで左右を見渡し、何も無い空間と自分しかいない事を確認してほっとした。
(良かった、直斗も一緒に引き込まれなくて)
ほっとして、しばらく仰向けで寝転がったまま天井があるのか無いのかわからない空を見つめて
「さあ、どうしょうか?」と呑気に呟いた。



≪一方堂島家

「せ 先輩が、テレビに、どどうしたら・・・」

堂島家の居間で小柄な少女は、いつになく動揺していた。
白鐘直斗、頭脳明晰な探偵の少女は、いつも目の前で起きた事件や事故の時など冷静に対処するが、今現在冷静さを失っていた。

直斗の恋人である、深海梗が突然テレビから現れた手に腕をつかまれテレビへと引き込まれた。
直斗はとっさに彼の腕を掴んだが、彼に振り払われ

「直斗、俺の事はいいから、花村に連絡しろ!
絶対ここから入ってはダメだ!みんなと一緒に来てくれ!絶対一人で来るな!うわっ」

直斗は、彼が引き込まれた時に言った彼の言葉を思い出した。

「そうだ!花村先輩に連絡しないと!」

ようやく直斗は、今するべき事を思い出し携帯電話を手にした。








深海は、まだ仰向けのまま寝転がっていた。
(それにしても、ここは何処だ?それに俺を引き込んだのは誰だ?でも、見覚えある腕だったような?
ただテレビの中なのは間違いない、俺が今持ってるペルソナは、ヨシツネとトランペッターとサンダルフォン大概の敵には対処できる。
特にヨシツネは、物理無効と大体の属性が反射や無効、サンダルフォンは、戦闘終了時には体力とSPは回復出来るし、
ペルソナの組み合わせは悪くない、これなら自力で脱出できるかも)と思い、ようやく体が動かせそうなので立ち上がった。



≪堂島家

「直斗、気持ちは分かるが、もう時間も遅い、明日はちょうど日曜で休みだ、
朝一番にみんな集合して、準備してから行こう」

今すぐ行こうと言った直斗に、花村は冷静な声で直斗に言った。
そんな花村に直斗は、抑えきれず声を荒げ

「そんな、花村先輩は深海先輩の事、心配じゃないんですか!
今すぐ行かないなら僕だけでもいきます!」

「おい!深海がそれで喜ぶのか!テレビに引き込まれる時、あいつはお前に言わなかったか!
絶対一人では来るなって!あいつなら絶対言うはずだ!お前を危険にさらしたくないから!
引き込まれる時に、お前の手を振り払ったんじゃないか?あいつは!」

先程と打って変わって、花村は声を荒げ言った。

その花村の言葉で、直斗ははっとした。
(何故、花村先輩は梗さんが言った事分かるんだろう。でも、僕はすぐにでも行きたい、でも)
直斗はようやく冷静になりすーと一息吸って

「ちょっと悔しいです。細かな内容は僕は言ってないのに、何故、花村先輩は分かるんですか。」

「ふふ、そりゃな、もうかれこれ半年付き合った相棒だからな、あいつの直斗への思いも聞いてるしな、
だから直斗一人で行くなよ、
俺達みんなで助けに行かなきゃな、
まあ、でも、もう大丈夫だな、朝一にジュネスに集合だぞ」

「わかりました。」

直斗は、唇を噛み締めた。

(僕は、探偵なのに、一番冷静でなくてはならないのに)
直斗は主のいない堂島家に鍵を掛けて自分の家へと帰った。










しばらく辺りを見渡した深海は
(それにしても暗いな、霧がある様で無いような、でもまあ眼鏡はかけるか)
そう思い、深海は制服のポケットから眼鏡を出し掛けた。
すると、少し明るくなり視界が開けた。

奥に扉があるようだったので、深海は進んだ。
周りには人も居ないが、シャドウも居ない、通常ダンジョンには必ずシャドウが居るのに?と深海は首を傾げた。
(まあ、シャドウが居ないってのは、戦闘しなくていいから、まあいっか)
ちょっとほっとして進んだ。

ようやく扉の前に着いて。
深海はヨシっと自分に気合を入れ、扉の取っ手に手を掛け開けようとした、
(ななんて重いんだ!おかしい、押しても引っ張ってもびくともしないなんて、こうなったらぶっ壊す!)

「ヨシツネ!八艘跳び!」

ペルソナヨシツネの物理攻撃で扉を壊そうとしたが、そのまま攻撃が深海に帰ってきた。

「うわっ、な なんでだ?」と呟くと

「その扉は、全属性反射するようになってる、しかも、その扉は引き戸で、そんな事をしなくても簡単に引いて開くぞ」

深海は突然聞こえた声に、一瞬固まった。
(なに、誰も居なかったはず)
恐る恐る振り返るとそこには

「よう、俺、ようやく会えたな、なんだ、その変な顔」

「お前は、誰だ!」

「知っているだろ、俺に言わせるのか?他のみんなと同じように、俺を暴走させたいのか?」

深海は、自分と同じ顔と声にびっくりして思わず言ってしまったが、すぐに冷静になり。

「ああ、そうだな、ちょっと動揺しただけだ、判ってる、俺はお前で、お前は俺だ。
それにしても、どう見ても扉で、引き戸だなんて可笑しくないか?」

ふふっと金色の瞳の深海が笑い

「お前でも、動揺する事あるのか、この扉はお前も作ってんだぞ。
それはいいとして、何故俺が、無理やり引き込んだのか判ってないだろう」

「そうだな、俺は、もう一人の自分と会わずにペルソナが覚醒した。
なんで今頃で、しかも自ら引き込むなんて、聞いたことない」

「ああ、お前は特別だからな、だから、お前のシャドウである俺も特別」

深海はあまりのイレギュラーさに、対処をどうしたものかと考え

「なにか、俺に伝えたいのか?それとも」

「安心しろ、お前を食い尽くすなんてことは考えてない、
ただ、お前は俺を覚醒したときには、もう一人のシャドウなる自分は無かった。
だが、最近違ってきてる。お前自信判ってるんじゃないか?」

そう言われた深海は、少し考えた。
(確かに、ここ稲羽に来る前の自分と、今の自分は変わったかな?
確か俺はここに来る前は、誰にも関心がなくて、
かと言って一人ぼっちでもなく、それなりに回りに人はいた、
そう、居ただけ、話はする、遊ぶでも、喧嘩したり言い合ったり
何かに真剣に取り組む事もない、ここに来てからは全く逆かな?)

「ここに来て、感情が生まれて、ペルソナが逆シャドウ化したって事か」

「そうだ、俺はペルソナになるとイザナギだ、今お前は俺を付けていないが、俺はいつもお前の心に居る」





≪翌朝ジュネス


「みんな揃ったな、じゃ行くぞ、なんせ相棒のダンジョンだから十分な準備しとかないと
あいつ自体が、俺達と違ってメチャメチャ強いからな、今までとは比べ物にならないダンジョンかも知れないからな、よし行こう」

花村はジュネスに集合する前に、SP回復とカエレール、状態回復など持てるだけ買い込んだ。

そしてテレビの中へ・・・

「りせ、あいつの場所判るか?」

「うん、判るよ、すごい、なにこの感じ、今迄にない、優しい穏やかな感じと、強く激しい感情とが入り混じったような、」

りせに場所を案内してもらい、みんなでその場所へ移動した。

そこはお社のような鳥居の入り口

「じゃ、捜索メンバーは、直斗と俺とクマと完二でいいか?」

花村がそう言って

「うん、がんばってリーダー見つけて帰ってきなよ、花村」

千枝が花村の肩をポンと叩き

「でも、危なくなったらすぐ帰ってきてね」

雪子は捜索メンバーみんなを見て心配そうに言った。

「直斗君、無理しないでね、直斗君に何かあったら私達が先輩に怒られちゃうから、
無理だと思ったら一回戻って、きつねっちに回復してもらっって、また行けばいいんだからね」

りせがそう言った瞬間一斉に、みんなの視線が直斗に集まった。
みんなそれぞれに、うんうんと頷いていた。

直斗は、みんなに注目されて、恥ずかしくなり帽子を深く
被り俯いて

「さあ、みなさん、頑張って慎重に行きましょう!絶対無理しないように!」

≪直斗が一番無理しそうで、危ない≫直斗以外のみんなの心の声は一致していた。










「そうか、俺にも心の闇が出来たんだな?でもそれは悪いことではないだろう?」

「ああ、そうだなお前にはちょうどいいくらいだ」

「俺は、色々なペルソナが付けられるが、それは今迄感情があまり無かったゆえか?じゃ、お前が出て来たら他のペルソナは無くなってしまうのか?」

「そうとも言えるし、違うとも言える、お前は特別だからな、心配しなくとも他のペルソナは消えたりはしない、まだまだ増えるだろうがな」

金色の瞳の深海に言われて、銀灰色の瞳の深海は少しほっとした。

「ああ、それともう少ししたら、時が満ち俺の本当の力が覚醒する」

「本当の力?」

銀灰色の瞳の深海は怪訝に思い腕を組んだ。

金色の瞳の深海も同じように腕を組んで、いつの間に在ったのか学校の机の上に腰を下ろした。

金色の瞳の深海は銀灰色の瞳の深海を見てにやりと笑い

「それにしても、お前が一人の人間に、そこまで固執するようになるとはな、
俺は、お前が生まれた時からお前を見てきた、あの人間に会うまでのお前はやりたい放題だったな」

はっははっとシャドウ深海が高らかに笑い。

「あの人間に、お前が今までどう過ごしたか見せると、どうなるんだろうな?」

金色の目がキラリと光り、銀灰色の瞳の深海を見た。

銀灰色の瞳の深海は、はぁと溜息を吐き

「そうだな、直斗に会うまでは、俺は来るもの拒まずで、断る事もなく、ただ流されるままで、でも今は違う!」

深海はぎゅっとこぶしを握り、金色の瞳の自分をきつく見つめた。

「心配するな、見せるわけないだろ」

金色の瞳が少し優しく微笑んだように見えた。
((俺はお前で、お前は俺だ、思いも同じ))




≪ダンジョン捜索メンバー


「あれっ、おかしいな、ここダンジョンだよな?」

何回か階段を見つけて進んだ花村は、少し疑問に思った。
深海の居るであろうダンジョンは、今までと違い、静かな森穏やかな大自然のような作りで、しかもどの階でもシャドウが一体も居ない。

「花村先輩、油断は禁物です。いつ状況がかわるか」

「大丈夫なんじゃねえか、深海先輩が俺達が来てるの判って、シャドウ出ないようにしてくれてるじゃねーか」
完二は呑気に言った。

「このダンジョン、いつもとはすこーし違うクマよ、穏やかな感じしかこの付近はしないクマね〜」

花村は、うーんと腕を組み

「なあ、りせ、あいつの気配は掴めるか?」

「うーん、今サーチしてるんだけど、わからない、でも、この階はシャドウは居ないよ」

花村は、りせにシャドウが居ないと聞いてほっとした。
(なんせ、探索はいつも相棒について行って、初めて入るダンジョンでの戦闘は、いつも相棒に指示してもらっていたからな
今更、あいつの変わりなんて出来ねぇよ、取り敢えず戦闘しなくてすみそうだし、助かったぜ)

「みんな、シャドウは居ないからどんどん先進むぞ、取り敢えず先に進む階段みつけねぇとな!」

「「はい」」とみんなで先を進んだ











「もうすぐ、衝撃的な事が起こる、今もお前は心を痛めているだろうが、その事で物事の判断を間違えるなよ、
その判断により、本当の真実、本当のお前と俺の力が覚醒するかはお前次第、さあ、そろそろ戻るか」

金色の瞳の深海が机から腰をあげ言った時

ドンドンっと扉を叩く音がした。
扉の向こうから

「なんで、開かねんだ!あいつがすぐそこに居るのに!」

「花村先輩!俺がやってみるっス!タケミカズチ!マッドアサルト!」

ぐわぁんとものすごい音がし、「いてて」と言う声が聞こえ

「じゃ、次は僕が、こいヤマトタケル!メギ・・」との声を聞いて

2人の深海は慌てて

「直斗!まて!その扉は引き戸だ!」

二人同時に叫んだ。
その声を聞いて直斗は、呪文を唱えるのを止めた。
二人の深海は見合って、ほっと胸を撫で下ろした。


引き戸が引かれて直斗達が入って来た。
「先輩!」
「相棒」!」
「センセイ!」
「深海先輩!」


「先輩!!」

直斗は、深海を見つけて、一直線に走って行き深海の胸に飛び込んだ。
勢いよく直斗に飛び込まれた深海は、直斗を受け止めてそのまま倒れた。

「先輩、先輩無事だったんですね、よかった」

うううと直斗は深海の胸に顔を埋めて涙を流した。
深海は直斗の頭を優しくなでて
金色の瞳の自分に向かって、むっとしながら

「お前が、直斗の目の前で俺を引き込むから」

金色の瞳の深海は、ぽりぽりと頬をかきながら

「わ悪かったな、お前しかいないと思ったんだよ」

同じ声の二人の会話に、直斗はえっと思い、もう一人の声の主の方へ顔を向けた。

直斗よりも早くに、その存在を見ていた花村達はあっけに取られてぽかんとしていた。(直斗の行動にもだが)

「あれ?深海先輩が二人?」

良く見ると、もう一人(直斗が抱きついてない方)は姿形は同じだが、瞳の色は違っていた。

「えっ、先輩のシャドウ?」

(でも、僕達の時とは違う、なんか普通に会話してる)直斗は不思議そうな顔をした。
不思議そうに二人を見る直斗に、銀灰色の瞳の深海は微笑んで

「うん、俺のシャドウだよ」

金色の瞳の深海は、直斗達を見下ろして、

「じゃな、もう一人の俺、次に会えるのを楽しみにしてる」

そう言うと金色の瞳の深海は、ペルソナイザナギの姿となり深海の体へと戻った。

「ああ、またな」

銀灰色の瞳の深海は優しく微笑み言った。


「花村、悪かったな、こんな所まで来てもらって」

深海は、ぽかんとした花村に声を掛けた。
声を掛けられた花村達は、はっとして

「えっ、えっ、今の何?お前のシャドウ(?)だったのか?
あれ、おかしくね?いつもなら、自分じゃない!って台詞でシャドウが暴走すんじゃ・・・」

花村達の頭の上に?マークが一杯飛び出してるように見えて、深海はくっくっと笑いを漏らした。

「うん、俺にもよくは解らないが、暴走は無かったな」

落ち着き払った深海を見て、花村は悔しそうに

「なんだよ!せっかくお前の見せたくない部分を、しっかり見てやろうと張り切って来たのに!」

花村は、ちぇっと言いながら
(深海が無事で良かったよ、ホント、悔しいから言ってやんないケドさ)と思いほっとした。
そして、直斗に押し倒されたまんまの深海を見てにやりとして

「直斗、一回離れないと、深海が立てねぇぞ、立ってからまた抱きつけばいいじゃん」

そう言われた直斗は、かぁーと顔が火照るのを感じて、花村達がいる事を思い出した。
(僕、僕みんなの見てる前で、なんて恥ずかしいことを、ど どうしょう)

「花村、そんな事言うなよ、俺、今超幸せなのに」

深海がそんな事を言うもんだから、益々直斗は顔が熱くなり(どうしようx2)と動揺し固まって動けない。

花村は、にたりとして

「まあ、ここのダンジョンはシャドウ居ないから、俺達先に帰るぞ!深海にカエレール渡しとく、ごゆっくり」

花村は完二達を部屋の外に追いやり、深海にウィンクをしてカエレールを使いダンジョンから先に帰った。

「直斗、直斗、もう誰も居ないよ、顔見せて、」

「い 嫌です。」

こんな真っ赤な顔見られたくない

「うー、俺は直斗の顔見たいな、顔を見てちゃんと謝りたい」

「えっ、なんであなたが謝るんですか?」

思わず直斗は顔を上げて深海を見た。
直斗はしまったっと思ったが、でも謝るなんて、彼は何も悪くないのにと思い

「梗さんは悪くありません、梗さんのシャドウも、きっと何か梗さんに言わなければならない事があったのでしょう」

深海は直斗を見て、
(さすがだな何で分かるんだろ、俺のシャドウも直斗の事を思っていたみたいだし。
俺ももう一人の俺も幸せだな。
この押し倒された状態は嬉しいけれど、でもやっぱり)と思い、
片方の手で直斗の腰を抱いてクルンとひっくり返った。

今度は、直斗が押し倒された形になって
お互いの鼻先と鼻先がくっつくぐらいまで近づくと

「直斗に押し倒されるのもいいけど、やっぱり押し倒すほうがいいかな」

直斗は、真っ赤な顔をマジマジと見られて、涙目になり。
深海は、そんな直斗に優しく微笑んで

「びっくりさせて、心配させてごめん、それでも来てくれてありがとう。」

そっと、直斗の可愛らしい唇を塞いだ。
直斗はそっと瞳を閉じて、彼の背中に手を回した。






≪あとがき≫
なんとなく、こんな事があってもいいじゃないと思い書いてみました。
雰囲気伝わったかな?ダメかなf-_-;


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