熱湯かぬるま湯か
それから少しして雷の音は聞こえなくなった。
「も、平気?」
私は悠くんの顔を覗き込んだ。
「はい!ありがとうございました」
悠くんは先程の強張った表情とは違い、ふんわりとした柔らかい笑顔を浮かべていた。
「……わ、私飲み物ついでくるね!」
やばいやばい、つい見惚れてしまった。
「あ、俺も手つ…」
「悠くんは、ソファにでも座ってて!」
私は赤く染まる顔を隠すように小走りでキッチンへ向かった。
ティーカップ2つと紅茶の葉が入っている缶を戸棚から出す。
「えーっと…」
紅茶は、お湯でいいのか?ん?熱湯、ぬるま湯どっちだ?
──悩んだ末、紅茶の缶と睨めっこ。
その結果、美味しい作り方というところに目がいった。
「あ、なんだぁ!熱湯を注ぐって書いてあんじゃーん!」
私は独り言を言いながら、紅茶の缶に向かって軽くデコピンをし、ポットに紅茶の葉をいれて熱湯を注いだ。
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