濃厚
なんとか私が美少年の手を握るのではなく、掴むような形で今は震えを押さえている。
「不思議と明里さんの手は落ち着きますね」
「…それはどうも」
一生懸命掴んでいるこっちの身にもなってください。
でも、落ち着くなんて言われるのは嬉しいけどさ。
「明里さん…」
「今度はなに?」
「世の中の恋人は、ああいうことをするものなんですか?」
ポカンと口を開けて、美少年はスクリーンを見つめていた。
「はい?」
スクリーンを見ると……男女が濃厚なキスをしていた。
「お、驚きました…」
「…まぁ、人それぞれじゃない?」
「えと…明里さんは?」
おいおいおい、そういうことを普通聞くか!?
「…あれはちょっと、濃厚過ぎかもね」
言った瞬間、なんだか恥ずかしくて私は下を向いた。
「のうこう?」
不思議そうに美少年が言う。
ダ、ダメだ…この人、こういう言葉は通じない。
「牧場のソフトクリームよりコンビニのソフトクリームの方が、今の私には十分ってことかな」
「はぁ…、なるほど」
本当にわかってるんだか…。
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