Side:葉月
「それよりさっきの電話はなんだったんだぁ?『面白いコト見つけたよー』とか抜かして切りやがって…」
ふふ…それ碧のマネかな?
気持ち悪いよ棗。
「私が碧達に調べ物をしてもらったんですよ」
「…いつだ?」
「さっき、棗があの子達と対峙している時です」
「そういう事は先に言え。…さすが参謀の『赤姫』ってトコだな」
いいじゃないですか。
私も棗同様、あの子の事が気になったんですから。
一目で普通の生徒じゃないと感じましたよ。
北条楓…一体どんな子なんでしょうね…
無表情の割には眼鏡の奥にある瞳はまだ死んでいない。
色は違いましたが『氷の死神』と同じ瞳をしていた。
私はまた貴方に会えるのでしょうか?
5年前のあの時から私は貴方の虜です。
会いたい。
北条楓…貴方の知っている事、隠している事、貴方の正体……全部さらけ出してもらいますよ。
−−−−ガチャ
「おーやっと来たー!おかえりー」
「おかえり」
「ぁあ」
「ただいま…連絡ありがとうね」
私達を迎えてくれた同じ顔をした2人は裏の世界で知らない人は少ない名の知れた情報屋…
通り名は『Brown』
宇野碧の"緑"と宇野茜の"赤"を混ぜた色みたいです。
つまりは2つで1つ…という事ですね。
本当に仲が宜しいみたいです。
「じゃあハヅに頼まれた"北条楓"について説明するねーこの子面白いよ〜」
あ、ハヅとは私の事です。
「えーと【北条楓。6月28日生まれのAB型。現住所:不明。出身地:不明。家族構成:不明。連絡先:不明。国籍:日本。補足:多少感情表現に不備が見られるが、問題は無い。】以上でーす!」
「………え…?」
「…………他には?」
「無いよ」
おかしい。
データが無さすぎる…
こんな事があって良い訳がないでしょう。
あの理事長様なら有り得なくもないかもしれないですが…
いえ、でもこれはこれで…
「怪しいな…」
「ええ…」
「初めて見たよこんなの!」
「ハヅ。この北条楓とは一体何者なの」
「…それを知りたいんですよ」
これであの子はただの生徒じゃない事が分かりました。
恐らく理事長と関わりがありますね。
と、なると学園のデータにはこれ以上の事は無い、か。
楽しませてくれますね…
『北条楓』と『氷の死神』
この2つがどう繋がるか…
逃がしませんよ。
繋いでみせようじゃないですか…
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!