Side:和緋
どこから流れてきたのかは分からないが、気になる情報が俺の耳に入った。
『氷の死神が藤城学園に居るらしい』
俺はそれを聞いてすぐに転入を決めた。
確かな情報かも分からないが、やっと掴んだあいつの手掛かりだ。
絶対に見つけ出してやる。
そして俺は、藤城学園の生徒になった。
「うわ…迷った……」
何だよこの学園。
有り得ないよな…でかさが!
つーかここ裏門って書いてあんだけど。
ひとまずチャイムを押すと、理事長と名乗る男の声が聞こえ、案内役をよこすからそこに居ろと言われた。
声からして結構若そうな理事長だったな。
何かどこかで聞いた事あったような…?
待っている間に木を眺めていると登りたくなり、登ってみた。
「良い眺めだー」
この景色あいつにも見せてやりたいな。
お前には言いたい事や聞きたい事があるんだ。
黙って消えやがって…見つけたらまず最初に苦しくなるくらい抱きしめてやる。
しばらくすると1人の生徒がキョロキョロしながら近付いてきた。
声をかけても何回か無視されたけど。
「……お前は…」
そいつは無表情だったが、俺を見て少し驚いた声を出した。
知っているのか?
「…別に」
なんだかあいつに似てるな。
野暮ったい前髪に眼鏡をしていたが、雰囲気とか無表情な所が似てる…でも違う…よな?
あいつは金髪金目だもんな。
こいつは黒髪黒目だ。
分からないけど、なんだかこいつの雰囲気が気になる。
「アンタが案内役?俺、今日からこの無駄金遣い学園に転校してきた峰岸和緋ってんだ!よろしくな!」
なあ楓、お前はあいつの事知っているのか?
それとも…
お前があいつなのか?
……まさかな。
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