運命なんて信じねぇぞ。
___30分前
「なんで俺が……」
「まぁそう言うなよ楓」
無駄に金をかけただだっ広い部屋の奥にそいつは居た。
藤城拓馬
黒髪のオールバックに左目の傷。
思いきりヤクザのそれに見えるがこいつはこの私立藤城学園の理事長だ。
そして俺はその生徒である北条楓。
野暮ったい黒髪を後ろで1つに束ねて黒ブチ眼鏡をかけている、所謂オタクルックだ。
だってめんどくさいし。
「…めんどくさ……」
「…今度オムライス作ってやるから」
「で?どこに行けば良いんだ?」
「(分かりやすい奴…)」
しょうがないだろ。
オムライスは好きなんだから。
「今日くる転入生なんだがなぁ…何故か裏門から入ったみてぇなんだよ」
「……馬鹿か」
なんで森に囲まれた裏門に辿り着く?
相当な方向音痴?
「どうなんだろうな…まぁとりあえずお前の同室者だからよ、案内してやってくれ」
「(はぁ…)…特大のオムライスな」
「はいはい」
____現在
転入生を迎えに行った俺は森で迷っている。
「チッ…めんどくせ…」
右を見ても左を見ても木だけ。
本当に面倒だ…
「なぁ」
大体なんで同室者だからって俺が案内役なんだよ。
普通は生徒会長とかがやるのではないのか?
「聞いてる…?」
聞けば転入生は美形とか言うし…
せっかく今まで目立たずに過ごしてきたのにもし俺の事を知っている奴がいたらどうしてくれるんだ。
「おいってば!」
「何だ!……………お前は…」
声がした方を見ると…俺がよく知っている奴がいた。
木の上に。
「よっ、と…え?何?どしたの?」
「…別に」
3メートルぐらいはありそうな木から飛び降りて平然としている。
こいつ変わってねぇな…
ん?何故こいつがここにいる…?
「アンタが案内役?俺、今日からこの無駄金遣い学園に転校してきた峰岸和緋ってんだ!よろしくな!」
ああ、めんどくさい事になった……
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