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次に目が覚めると真っ白い天井が見えた。
ここは…
「……天、国?」
俺がそう呟くと大きな影が見えてきてそれが人間だと気付くのに少し時間がかかった。
「…阿呆。そんな訳ないだろ」
聞き覚えのある声
「……藤」
なんで藤がここに居るんだ、と言いたかったが上手く声が出て来ない。
ズキズキと痛む腹を見て、俺は生きているのか。
そう理解する。
せっかく母さんと父さんに会えると思ったのにな…
「…楓。お前は俺の学校に来る事になった」
藤の、学校…
なんで俺が…?
「…全寮制の学校を運営している、と言ったらお前の父親がお願いしてきたんだ」
なるほど…俺は捨てられたんだな。
「ここに居るとまた母親に何かされてしまいそうで心配だ。…そう言っていた」
義父さん
俺の事、恥ずかしいのだろうか。
ソレハナンノ心配ヲシテイルノ?
「……分かった」
きっと俺はあそこに居ちゃいけない。
義母さんが壊れてしまう。
義父さんが困ってしまう。
俺が居たらあの二人は幸せになれない。
大丈夫だ、慣れているから。
だから
「そんな顔…してんなよ、藤。…ばあか」
「……ばかは余計だ、…阿呆」
数日後、病院から退院した俺は数少ない荷物を詰め込んで家を出た。
もう二度とこの家に戻る事は無い。
それが…十四の秋だった。
序章END
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