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十四の秋


母さん…












『ああ汚らわしい!あの女と同じ瞳の色!』












痛い…殴らないで…













『私からあの人を奪った醜い女の子供!どうしてアンタがここにいるのよお!』













母さん…お酒やめて…どうして俺を殴るの…





痛い…














『なんであの人が死んだのにアンタが生きてるのよお!!』















ごめんなさい…






ごめんなさい…














産まれた時から金色の瞳を持つ俺を、ある日を境に母さんはたくさん殴るようになった。
特にお酒を飲んだ後はいつもこうだ。
母さん、と言っても本当の母親ではない。

本当の母さんは俺を産んですぐに死んだ。

父さんも俺が産まれる少し前に死んだ。


義母さんは母さんの姉で、俺は彼女に引き取られてここにいる。


殴られるのは痛いけど
それで義母さんが満足するならそれでいいと思って何もしようとしなかった。


面倒、だった。



だが大きくなってからはさすがに苛立ちが募り、俺はストレス発散の為に街へ出掛け、喧嘩ばかりした。







義母さんに殴られる度、全く知らない奴を殴りに出掛ける。
そんな事を続けている内、俺に妙な名前がついて有名になり、あの人に出会った。

何もかもが新鮮で、楽しかった記憶がある。









だけど"あの紛争"のせいで、













全てが壊れる音がした。
















そして十四になった時











母さんは





『そうよ…!消えちゃえば良いんだわ!アハハハハハ!』













壊れてしまった。














『アンタなんか…っアンタなんかああああ!!!』















そう叫びながら包丁を振りかざし













俺の左腹を刺した。













『フフ…ッキャハハハハハハハ!!』













義母さんは涙を流し、甲高い声で笑いながら床に倒れてそのまま気を失った。












うるさいな…








…眠れないじゃないか














やっと母さんと父さんと、…あの人と同じ所に行ける











ドクドクと脈打ち、床に広がる血を感じながら義母を見ていると、視界がじわりと滲んだ。

初めて義母に殴られた時から流した事のない水が、瞳から溢れていく。










そして俺はそのまま意識を手放した。





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あきゅろす。
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