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短編
ある日の恋物語



俺は吉原悠。


裏の世界では結構名の知れた極道一家『吉原組』の組長"吉原雅司"の一人息子だ

将来的に俺が親父の後を継ぐ事になっているが…

正直、継ぎたくない。




まぁその話はいいとしよう。



その前に







「また死んだ…!この中ボス強いな……」





こいつだ。


俺の部屋で
俺のゲームを数時間も占領している男…北条楓



これでも恋人だったりする。







1ヶ月前…俺は勇気を出して楓に想いを告げた


するとこいつの返事が




『そうなんだ。じゃあ付き合おうか』




だった。



その時の俺は(嬉しさで)頭が真っ白になってその日は一日中ボンヤリしていたのを覚えている



だが今となって考えてみると、随分と軽い気がするのだ







しかもまだ体を重ねてもいない。

いや別にそれが目的で付き合った訳ではないからまだ置いておこう


一応キスぐらいはしているのだからな。







それでも……俺はまだ楓から『好き』と言われた事がない





俺の部屋に遊びに来ては昼寝をしたり、ゲームをしたり、峰岸や連夜達も一緒に雑談をしたりと、まるで付き合う前と変わらない






時々不安になるのだ。






楓は本当に俺の事が好きで付き合っているのだろうかと…




元来、同性愛者ではない俺がこの学園の風習に染まってしまった事に対しての同情なのではないかと



色々後ろ向きになってしまう。






「…これではいかんな……」



「何が?」



「ぅおわっ!きゅ、急に目の前に現れるな楓…!」


「いや呼んでも反応しないからよ」





難しい顔してさ、そう言う楓は相変わらずの無表情

さっきまで熱中していたゲームをチラリと見ると画面一杯に"GAME OVER"の文字





「…なんだ、また負けたのか」


「どーしても中ボスに勝てないんだよ」


「……そうか」



「…どした?」


「いや……」


「…ふーん……じゃあ俺戻るな」





少し態度がおかしかったかもしれないと思ったが楓はあまり気にした様子も無く玄関へ向かう




(こうゆうのをマンネリ、とゆうのだろうか…)





「あ、そうだ」



「?」




急に思い出した様な声を上げると、楓は一直線に俺の所までやってきて




そのまま抱き着いてきた





「楓…?」




何も言わずに俺を抱きしめる力を強める



楓から抱き着いてくるなんてめったに無い事で、軽くパニックになっていた









「…ッ」



しばらくすると首筋にチクリとゆう痛みがやってきた


その次に軽く触れるだけのキスをして楓はそのまま帰っていった





残された俺は呆然とそこに佇む事しかできなかった。









(楓に何があったのだ!?)





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あきゅろす。
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