REBORN 長編
小さな争い**テニプリSide
**同時刻
「じゃあ部長。俺先に風呂行ってきます。」
「ああ。分かった。」
初日という事で最初は勉強をやらされていたレギュラー陣。ノルマを終えれば自由時間が与えられる。
「げ〜!??ずっりぃの〜!!俺だって風呂行きてぇのにぃ〜」
「終わったもん勝ちっスよ。」
部屋の襖に手をかけ、顔だけを菊丸に向けてリョーマは挑発するように言うとリョーマは静かに部屋の襖を閉めた。
「越前が…風呂っすか………」
リョーマが居なくなって沈黙が流れると桃城が小さく呟いた。
「てめぇ…何考えてんだ??」
すかさず海堂が桃城を睨んだ。
「客の入りから見て今大浴場に越前が1人という確率は87%……」
「「「「「「「「…………………」」」」」」」」
乾が眼鏡を中指で上げながら言うと皆黙り込んでしまった。
すると…
「どこに行くの??…手塚。」
沈黙を破るように立ち上がり部屋を出ようとした手塚を不二がすばやく止めた。
「……風呂だ。」
「手塚、お前…」
「へぇ……」
越前と風呂に入りたいのか?
大石はそう言おうとしたが続きを言わなかった(言えなかった)。
不二が手塚を見据えていたからだ。
「ノルマが終われば自由時間と言っただろう。俺は終わった。」
「越前君が終わる前に終わった…でしょ??」
「えっそうなんすか部長!!??」
「さっすが手塚だにゃ〜でもなんでさっさと風呂に行かなかったんだぁ??」
そう言われてみればという顔をする不二と大石以外のレギュラー陣。そして黙り込む手塚。
「今回の合宿…これが狙いだったんだよね。手塚は。」
不二が静かに言った。笑っているように見えるが目は笑っていない。むしろ怖い。
「……なんのことだ。」
手塚はそう言うと踵を返して部屋から出て行った。
「ちっ……」
不二が舌打ちをして手塚の後を追った。
「「「「「「……………」」」」」」
残された大石、菊丸、乾、河村、桃城、海堂はただ呆然とするだけだった。
「なんだか今日の2人おかしくない??」
「なんか張り合ってるみたいっすね…」
河村と海堂が今いちよく分からないという顔で襖を見ながら言った。
「俺…あの2人に勝てる自信無いよ〜」
「…俺もっス……」
なんとなく分かっている菊丸と桃城が落ち込みながら言った。
「…あの2人を敵に回して勝てる確率は…残念ながら10%未満だ…」
乾はどこが悲しそうで楽しそうな顔をしていた。大石はこれほどまでにあの生意気なルーキーが哀れだと思ったのは初めてだった。
「…あの2人が暴走しなければ良いけど…」
ひたすら祈るしかなかった。
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