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武side





カチャ…





「……誰もいねぇのか…」


つまんねぇの…

にしても…2人部屋にしては広すぎじゃないか?
こりゃ椿の奴、かなりラッキーだったな、1人部屋なんだし。


「洗面にトイレ……風呂は左側か…つか広っ!」


2人は余裕で入れそうな風呂。
多分、これをみた椿は『お風呂プレイだ!』とか言うだろう。

廊下を抜け、リビングをざっと見渡す。
寮っつーか高級マンションだな。
まぁこの学園の広さに驚いたが寮の方はまだマシな方だ。
椿の家で見慣れてるし。

あいつは今でこそあんなアホだが実家は由緒正しい東雲家…華道の家元だ。

屋敷のデカさも規模もハンパねぇ。


「もしあいつが三男じゃなかったら…親友になんかなれなかっただろうな…」


あいつにとって、俺は王道計画とやらの攻め候補にすぎないだろうけどさ。
俺は椿が――…


「はぁー…」


ため息をつきながらソファーに重い腰を下ろす。

椿の奴も、小さい頃は女の子みたいで可愛かった。
今も可愛いが、それは内面的なもので…外見はすっかり男前に育ちやがった。
それを自覚しているならまだマシだ。

だが奴は全っ然、自覚していない。
むしろ自分は平凡だと思っている。
ほんっとバカ!

バカな子ほど可愛いとは言うが、奴はただのアホだろ。
せめて笑顔の安売りだけはやめて欲しい。

こっちの心臓が持たないっつーの。


「……明峰学園、か」


俺がここを受験した理由だって、あいつを守るため。

当の本人は全然分かってないがな。
あの顔じゃ間違いなく狙われる。
受けの連中だけじゃない、攻めの奴にもだ。


俺の幼馴染に手を出したら、誰だって許さねぇ。


(なんて、ナイトみたいなこと言えたら良いのによ…)













思ったよりふかふかとしたソファーは俺の眠気を誘い、ゆっくりと目を閉じるとそこで俺の意識は途切れた。







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