寮といえば。 「やっぱ寮と言えば2人部屋でセックスだよな」 「頼むから黙っててくれ椿くん」 寮監の方に部屋割りの紙をもらい、俺たちは今地図を見ながら向かっている。 中はやたらと広く、中央には小さめの噴水がある。 その部屋を中心にいくつにも道が分かれていた。 おしゃれだな。 「えーと、俺の部屋は、と…」 カサリ、とさっきもらった部屋割りの紙を見ると横から武も覗いてきた。 「あ」 「え、…マジ?」 声を出したのほぼ同時だ。 俺の部屋は508。 武は507だ。 「武と離れたか…」 「……椿、1人部屋じゃん」 「みたいだな。お前は…成川、雫?って人と同室か」 1人部屋…最高じゃないか! 良かった、もし知らない人と一緒だったらどうしようかと思ったんだよな。 「くそっ…最悪…」 武が苦々しく顔を歪める。 何を言う武くん。 君はこの成川くんと仲良くしなきゃいけないのだよ。 やばいやばい。 妄想が止まらん。 この成川くんってどんな子なんだろう、可愛い子だろうか? 美人系? 俺としては強気系でも良いんだが… 落ち着け俺。 この子が受けとは限らないんだ。 攻めの場合は攻め×攻めになるな…… 大丈夫だ! 萌える。 「………嬉しそうだな。椿」 「そうか?」 「俺と離れて何とも思わないのかよ…」 拗ねた口調で呟く武。 何この子可愛いんですけど。 こいつ、甘え属性も兼ねそえているのか。 「大袈裟だな、隣なんだからいつでも俺の部屋に来いよ」 「…いいのか?」 「お前なら良いさ」 笑って言うと顔を逸らされた。 いつものことだけどね。 「…………こ、ここじゃねぇか?」 「みたいだな、じゃあとりあえず中に入って荷物解きをしよう」 「そうだな。多分、お前のが遅いだろうから後で迎えに行く」 「ん。分かった、後でな」 鍵のカードキーで、溝に通すとピピッと電子音と同時にドアの開く音がした。 武と顔を見合わせ、頷くと部屋の中に入る。 「……ここまで王道だと、逆に怖いな」 部屋はわりとシンプルで、結構好きだ。 寮の玄関のくせに二畳はある。 玄関からまっすぐに伸びる廊下の奥はリビングだろう。 廊下の右側には洗面とトイレ。 左側にお風呂があった。 お風呂が異常に広い…これはアレだな。 お風呂プレイだ。 『やっ…馬鹿、こんな…所で…!』 『でもお前、反応してんじゃねぇかよ…淫乱だなぁ…』 『ちがっ!んぁ、…やめ…!』 『何が違うんだよ?こんなにいやらしい音を出させておいて…』 『ぁ、あン…!音、やだぁ!』 『可愛いな…お前……』 『、ン……』 ゴン!! いい! 全くもってけしからん寮だな! 妄想に萌えて思わず壁に頭突きをしてしまった。 やばいな、こんなことじゃこの先持たないぞ俺… 「…さて、荷物解きでもしておくか」 [*前へ][次へ#] [戻る] |