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おいおいおい、こんな所で不良少年に出会っちゃったよ。
これはアレだよね?

成川くんを崇拝する忠犬的なポジションだよなコイツ?

忠犬×変装編入生ktkr!!!


「俺、東雲椿」

「あ?何でテメェに教えなきゃなん…」

「知り合った記念にさっきの姿をプレゼントしようか」

「いつの間に写メってんだテメエエエ!!!」


パカリと携帯を開けて見せたのは忠犬くん(ひとまず命名)が罠にかかっている姿を激写した画像。
顔を真っ赤にしながら俺の携帯を奪おうと飛び掛かるが、俺は難無くかわす。


「てめっ寄越せゴラァ!!」

「名前、教えたらな」

「ふざ、けんなぁ!!」

「あ」


必死に飛び掛かってくる忠犬くんが面白く、足元が疎かになっていたらしい。

根っこに躓き、後ろへ倒れ込む俺に、忠犬くんがタイミング悪く飛び掛かってきた。



ドシャア!!!


「いっ…てぇ…」

「へっざまぁみろバーカ」


はた、と気付くと、俺の視界に忠犬くんのニヒルな笑みと、真っ暗な夜空が見えた。

星が綺麗だなアハハー…じゃねぇよ。
俺なんか押し倒したって何の得もねぇよオイ。


「あ、俺の携帯」

「消去消去、と……ったく、何なんだよてめぇはよ」


いつの間に奪ったのか、忠犬くんは俺の携帯を勝手に操作し始めた。

あーあ…せっかくの笑いダネが…


まぁ既に別の携帯に送っといたんだけどね。


「はぁ…分かったから退いてくれ。男に押し倒されても嬉しくないから」

「…………てめぇ、ゲイじゃねぇのか」

「純真100%のノーマルだ」


いやいやいや。
何で俺がゲイに思われてんの?

俺はゲイを見るのが大っっ好きだが俺自身はノーマルだから。
普通に女の子好きに決まってんだろーが。


「ふーん…ノーマルねぇ……」

「……何」


何か嫌な予感がするぞ。
長年、培ってきた腐男子センサーが反応している。

"逃げとけ"と。


「おっと…カンが良いじゃねぇか」

「離せ」

「この状況でこんな上玉を逃がして堪るかよ」


バッと上体を起こし、逃げようと体を捻るが、それよりも早くに忠犬くんは俺の体を押し戻した。

待って待って忠犬くん!
おかしいってコレ!
忠犬くんはどちらかと言えばヘタレで、ヘタレのくせに独占欲だけは一丁前なはずだろおお!!
こんな風になったら顔真っ赤にしてしどろもどろになるタイプだろ!?

王道くん限定で!


「待て落ち着け阿呆が!俺は男でノーマルだ!体だって小さくないだろうが!」

「そうだな」

「そうだなじゃねぇよ!お前さっきまで俺を毛嫌いしてた態度はどうしたんだよ!」

「決まってるじゃねぇか…」


ぽつり、呟いてから、顔を近づけてくる。
額が合わさり、鼻先が触れるか触れないかという近さまでくると、ニヤリと口元を上げた。






「――俺は"ノーマルでバックバージンな男前"が大好物だからだ。大人しく俺の●●●を●●に突っ込まれて啼けよ」


頭の中で忠犬くんのイメージがガラガラと音を立てながら崩れていくのが聞こえた気がする。

ちょっ無理無理無理!
殺っていいかなコレ?
殺っていいよねコレエエ!?














がさっ



「…………」

「…………」

「…………」


茂みからひょっこりと現れた人物は俺と忠犬くんを交互に見遣り、一つ頷いた。


「ちょっと待ってて。カメラ持ってくるから」

「持ってこんでいい!」

「ぐえっ」


爽やかな笑みで踵を返そうとした須藤さんの首に、咄嗟に取り出したムチ(愛用)を巻き付け、力の限り引っ張る。

ものすごい勢いでこちらへ引き戻された須藤さんは俺の上にいる忠犬くんにタックルをかまし、二人揃って逆の茂みへ飛んでいった。

……助かった。


「椿ちゃん!?今一瞬お花畑が見えたよ!!ていうかどっから出したのソレ!?」

「何すんだテメェー!照れ隠しにも限度ってのがあんだろ!!つーか何でムチ標準装備!?」


しぶとく立ち上がった二人がずかずかと足音を立て、俺の元へ近寄ってきた。


が。




かちっ。


「「あ?」」

「お?」



ぐわっ



「「ぎゃぁああぁああ!!?」」


忠犬くんが最初に引っ掛かった網が、再び襲ってきた。
しかも須藤さん付き。

成す術もなく二人は網に捕らえられ、2・3メートル上の木へ持ち上げられた。

哀れな。


「ちょっ…何で森にこんなんあんの!?」

「てめ、っ狭ぇんだから暴れんじゃ…いででで!食い込んでる食い込んでる!!」


ざまぁ。

事故チューでもしないかな…
とりあえず写メっとこう。


「………何してんだこいつら」

「あ、璃人さん」

「良かった、無事だったんだな椿くん」


俺が二人の姿を数枚ほどカメラに納めると、呆れた声を出す璃人さんが近くの茂みから現れた。

璃人さんは俺の姿を確認するとホッしたように顔を緩め、小さく笑う。

…小春さんに続く癒し系だな。


「何まったりしてんのー!助けて二人ともー!!」

「……どうしますか璃人さん」

「……僕としてはこのままでも良いけど…三人揃ってないといけないからな…」


確かにそうだよな。

俺は小さくため息をつくと、懐から5・6本のナイフをジャラリと取り出し、二人をぶら下げている網の上部へ向かって思い切りブン投げた。


「「うをわーーーー!!!」」


猛スピードで飛んでいくナイフは二人の頭スレスレ(わざと)で網をぶった切り、後ろの木へ刺さる。

もちろん二人はそのまま地面へ真っ逆さまに落ちていった。

可哀相に…忠犬くんは二回目だな、落ちるの。
……別にさっきの仕返しとかじゃないから。


「ナイスコントロール。椿くん。しかしそのナイフは一体どこから…」

「それにしてもさっきからこの罠は何なんですかね、璃人さん。分かりますか?」

「あれ、スルーかい?……いや、こんなもの初めて見るな」


生徒会の璃人さんも知らないとなると、いよいよ怪しいなこの森。
武は携帯に出やがらねぇし…

この罠だって、もし引っ掛かったらナイフでも常備してない限り自分じゃ抜けれない仕組みだ。

つまりこれは"捕獲目的"のトラップ。


「一体誰が…」

「……先生方に報告した方がいいかもしれないな」


璃人さんの言葉に頷き、一度辺りを見渡すと、気になるものが見えた。


「ねぇねぇ椿ちゃん…」

「ぇえ…俺も今気付きました」


俺たちのいる場所から少し離れた茂みの中。
そこには網に捕らえられた生徒が転がっていた。

ピクリとも動かない所を見ると、気を失っている。


「どーすんだよ?助けねぇのか?」

「もう少ししたらな」

「?」


怪訝そうな顔をする忠犬くんを横目に、再びさっきの生徒へ視線を向ける。

俺と忠犬くんと璃人さんは腰を屈めて身を隠し、須藤さんはすぐ傍にある木の後ろに隠れ、息を潜めた。







「―――来た」


やがて、捕らえられた生徒に近寄る二つの人影が姿を現した。




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あきゅろす。
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