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感激。




「とまぁ、こんな感じなんだよね…」

「…………」


長々と成川くんがここに来た理由を説明してくれた。

さらに成川くんはあるチームの総長らしい。
初対面の俺たちにそうベラベラとしゃべっていいのか、と思ったが黙って聞いていた。


「た、大変だったんだな…」

「分かってくれるのか椿ー!」

「つばっ…!?」

「え、何?」


成川くんが涙目で俺に抱きつくと武が顔を赤くして成川くんを睨む。
何だ…?



嫉妬か!

可愛い成川くんに惚れたんだな武!!
お兄さん嬉しいぞ!


「成川くん落ち着いて。とにかく、その変装は俺ら以外の前で取っちゃダメだからな?」


腰に抱き着いている成川くんに人差し指を当てながら首を傾げると、顔を真っ赤に染めて勢いよく離れた。


「お、おう…分かった…ちょっ、俺トイレ行ってくる!」

「?どうぞ」


よく分からないが、トイレに入った成川くんを確認すると、俺は歓喜の顔を武に向ける。


「……分かったから大声を上げるなよ椿…」

「だって…だって…あんな王道すぎる王道…!」

「泣くほど嬉しいのかよ…」


喜びの涙です。

やばいやばい。
これから楽しくなってきた…

聞けば、案内をしてくれたのはライバルチームの副総長だとか。
王道的に言えばその人は副会長!
成川くんは思い出したくないという顔をしていたから、おそらくキスくらいされているだろう。
グッジョブ副会長!


「武…俺、ここに来て良かった……」

「そ、そうかよ…」
(頼むから涙目でこっちを見るな!)


顔を背けている武の肩をガシリと掴む。
驚いている武と目が合った。


「つ、椿…近い…」

「頑張れよ武。同室なんだからキスくらい奪えよ。そしてあわよくばバージンも…」



「はースッキリした!……あれ?何してんの椿?」


トイレから爽やかな顔をして成川くんが出てきた瞬間、俺は武に突き飛ばされ、座っていたソファーから転げ落ちそうになった。

逆さになっている視界に駆け寄ってくる成川くんが見える。


「…放っておけ成川」

「ぇえっでも……あれ?なんで顔真っ赤なんだ武?」

「別に!」


そうかそうか。

武は俺と仲良くしている所を成川くんに見られたくなかったんだな。
この照れ屋ツンデレが!


「さて。時間も良い頃だし、行こうか、二人とも」

「え、どこに?」


頭上にハテナマークを浮かべる成川くん。

いいぞ、その首の傾げ具合。
上目遣いも完璧じゃないか。
それで攻め共を虜にしてくれな!

もちろんこれから行く場所は第2の王道ステージ。





「食堂だよ」






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あきゅろす。
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