面白い奴。
遊佐side
「何ニヤニヤしてんだ遊佐。気持ちワリィ」
「…ふふ、気持ち悪いとは心外だなぁ」
生徒会室。
優雅に紅茶を飲んでいるというのに、不躾にやってきた男によって邪魔された。
「その話し方もやめろ。誰もいねぇんだからよ」
「今はとても気分がイイんだ…」
「あ?具合のイイ奴でも見つけたのか」
投げやりにそう返してから一番大きい机に腰をかけ、書類を広げた。
聞いてる割にはどうでも良さそうだね、全く…
「それがさ、僕の猫被りを見破ったんだよ」
「へぇ」
「面白そうな子でね…キスしたら殴られたんだ」
「そりゃ珍しいこった」
今思い出してもゾクゾクするね。
あの外部生…
最初、遅刻した新入生の案内を任された時はムカついた。
なんでこの僕がそんな愚図の為に動かなきゃいけないんだろうと。
けど僕は紳士。
そんな態度を見せてはいけない。
なのに、
『なんかその笑顔、キショイ!』
生徒会の人間にしか分からないと思っていた僕の猫被りを初対面で、しかも会って数分の人間に指摘されるなんて夢にも思っていなかった。
「そいつ、遅れてきた3人目の外部生か」
「みたいよ」
「名前は?」
「知らない。聞く前にキスしたから、逃げられちゃった」
せめて名前聞いてからキスすれば良かったかな。
それより、今年はすごい。
外部生が3人なんて今までで初めてだろう。
「まぁ、見ればすぐに分かるからもう少ししたら会いに行くよ」
「俺も行くぜ。お前が気にいる人間を見てみてぇ」
「…あの子は僕のだからね」
退屈な学園にやって来た毛色の違う迷い猫。
楽しみだなぁ。
「ふん、ついでにあと2人の外部生の顔も拝んでおくか」
「親衛隊に目を付けられるんじゃない?」
「知るか」
自分勝手だな、この生徒会長は。
君みたいな美形が一般生徒に近付いたら大変な事になるって分かってて近付くんだからタチが悪い。
同性愛なんて当たり前のこの学園の生徒は、僕たち生徒会や、顔の良い奴、地位のある奴を崇め、下位の者が僕たちに近付くのを許さない。
他の外部生がどうなるかなんて知らないけど、あの子は僕が守ってみせる。
待っててね、僕の子猫ちゃん。
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