ご対面?
「よし。こんなもんだろう」
荷物を解いてから約20分。
うっかり漫画を読んだりと、寄り道をしながらもようやく仕舞い込めた。
もちろん、危なっかしいBL漫画や小説は念の為、すぐには見つからない場所に詰めておく。
ノートパソコンは机の上に出ているが、俺以外には起動できないようにしてある。
「それにても、遅いな武の奴…」
迎えに行くとか言っておいてすっぽかしているのか?
ため息をつき、携帯を取り出す。
電話帳から武の名前を探し、発信。
プルルルルル…
プルルルルル…
「…………」
しばらく鳴らしておいたが、出ない。
いつもなら3コール以内に出るはずなのに。
しょうがない、俺が迎えに行ってやるか。
携帯とカードキーをポケットに仕舞い込み、玄関に向かった。
カチャ。
ゴッ!
「うがっ!」
「えっ」
ドアを思い切り開け放った瞬間に聞こえた鈍い音と、うめき声。
そしてバタッという音。
恐る恐るドアの向こう側を覗いてみるとそこには、見知らぬ少年が伸びていた。
「マジかよ!おい!大丈夫か!」
黒髪に今時珍しい瓶底眼鏡。
その風体に驚くが、今はそれどころじゃない。
この少年が気絶したのは明らかに俺が原因だ。
少年の持っていたと思われる荷物と少年を抱き上げ、俺の部屋へ運び入れた。
「冷やすモノ冷やすモノ………」
少年をソファーに寝かせ、まだどこに何があるか分からないリビングをドタバタと荒らす。
とりあえず氷とタオルを少年のおでこに置く。
「ぅ…」
「起きたか?」
小さく呻き、起きるのかと思ったが、そのまま寝てしまった。
ホッとしたように小さく息を吐き、少年の荷物に目線を移す。
…随分と大荷物だな。
この辺をうろついていたって事は部屋が近いのだろうか?
せめて名前が分かればな…
「ん?」
よく見れば何かを握っている。
なるべく起こさないように指を一本づつ開かせると、それはカードだった。
良かった、コレで部屋番が分か…る……
え?
「507って…」
………武の同室者?
ぬわぁああぁああああ!!
失敗した!
このポジションは武がやるべきだろぉおおお!!
とは言っても、気絶させたのは俺なので、看病しなくてはならない。
「くそぅ…」
出鼻くじかれた気分だ。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!