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◇
「…無駄遣い」
「まぁみんな最初はそう思うよね」
ほとんどの授業は寝ていたために、あっという間に昼休みになってしまった。
隣のSクラスにいた隆宏を連れ出し、食堂に向かう。
まるで宮殿のような大きい扉は全開に開け放たれ、中は舞踏会かと思わせるくらいに広い。
シャンデリアもぶら下がっている。
ありえない。
「腹減ったー!腹減ったー!」
「うるせぇよアキ!」
「お、落ち着いて2人とも…」
迷うことなく明彦が食堂に入っていき、俺達はそれに続く。
周りの連中が明彦たちに気付くと黄色い…いや、黄土色の声を上げて色めき立っている。
((斎苑慈様だ!))
((赤羽さま素敵…))
((きゃー!冴島様がこちらを向いた!))
((あずきちゃんカワイイ〜))
…目立つ。
ものすごい目立つ。
チラリと4人を見ると、全然気にした様子のない明彦と不機嫌そうな夜誇と隆宏。
そして困ったように戸惑うあずきがいた。
(こんな事が毎日あったのか…)
「友ー里〜何食べるー!?」
「あー…お茶漬けで」
「お茶漬け!?そんだけ!?」
「…良いだろ別に」
お茶漬けが一番安いからだよ。
((何あいつ!明彦様にタメ口なんて!))
((あいつ外部生じゃない?))
((なんで平凡があの方たちと一緒に……))
今度は俺に矛先を変えやがった。
かなりウザイけど別に気にしなければどうってことないな。
(いざとなったら黙らせば…)
「ゆ、友里くん…」
「ん?どうした?」
「ごめんね…ぼ、僕のせいで…」
「いいよ。別に気にしてないから」
どうやら黙っている俺を見て俺が困っていると思ったらしい。
あずきの頭をポンポン、と優しく撫でるとほんのり赤面してはにかんだ。
やっぱりあずきを見ているとすごく和む…
というかさっき隆宏に友達なんだから敬語は使わないでと言われたが…正直慣れない。
元々口が悪い俺は仕事の時だけはと思い、極力敬語を使っていたからだ。
今まで友と呼べる存在が無いに等しかったしな。
(…………嫌な事を思い出した…)
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