異変(帷side)
「あーもうすぐ昼じゃねぇかよ〜ヒマだ〜…」
「…………」
「なんか面白ぇことやれ、礼」
「………ムリ」
ちっ…
せっかく授業免除の特典があったって暇なら意味がねぇな。
礼は真面目すぎてつまんねぇし、夜誇は授業出てやがるしよ…
「……夜誇、どこ行ったの」
「あいつなら授業出てんぞ」
俺の目の前で書類整理をしているピンク頭の男は河上礼という風紀委員の一員だ。
中国人とのハーフらしく、言葉が片言な上、腰くらいまである薄いピンク色の髪をミツアミで纏めている。
何故ミツアミなのかはよく分からんがな。
右側の前髪が突然変異だとかで色が変わった右目を隠している。
「夜誇、が?」
「驚きだよな」
いつもなら夜誇は授業免除を使って校内を徘徊している筈だ。
それが今日は授業に出てる。
ただの気まぐれか…
それとも友里が気に入ったとかか?
「クク…本当に変わった奴だ…」
「…帷、キショイ」
「うるせぇよ…」
(…久々に食堂にでも行くか)
無意識に色んな奴を魅了しちまってんだろう。
やはり、あいつは風紀委員に相応しい。
友里の事を考えて気分が少し和らいだ俺を怪訝そうな顔で見ていた礼が不意に、扉の方を見た。
「どうした?」
「…誰か、来る」
「…………」
バァン!!
「委員長!!!」
礼の言った通り、一人の風紀委員が尋常じゃないほど息を切らして風紀委員室の扉を開け放った。
「おいうるせぇぞ!何が…」
「妖が!!鬼の妖が校内に入り込みました!!」
「「 !! 」」
ガタン、!
「風紀委員の奴らは何してんだ!!」
「それが…!動きが早過ぎて捕らえられませんでした!風紀委員2名が負傷です!」
「ちっ…!」
大きな音を立てながら椅子から立ち上がり、報告に来た風紀委員を見据える。
こいつもその妖と遭遇したのだろう。
微かに妖気を持ってきている。
数は、一匹。
「準備できたか礼!!俺は校内に警戒体制をとらせる!お前らは負傷者の手当てと妖を追え!」
上着を引っつかんで羽織り、大きく頷いた2人を確認すると、二手に別れた。
(くそっ…とうとう校内にまで入ってきやがった!!)
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