騒がしい朝(隆宏side)
◇
あ…良い匂い……
なんだろう?
懐かしい…昔母さんが作ってくれたような気がする…――
「――…母さん…?」
「あ、起きましたか?」
うっすらと開けた視界にぼんやりと見えてきたのは母さんなどではなく、ソファーにもたれるように寝ていたおれを覗き込んでいる友里の顔だった。
「ぅをわっ!?」
「?どうしたんですか」
「いやゴメン…何でもない…」
びっ…くりした…
まさかあんな近くにいるとは思わなかった…
あーびっくりしたなー…
「ご飯できてますよ」
「え、あ…本当だ」
うまそー…
これ友里が作ったんだろうか?
夜誇もかなり作るけど友里もすごいな…
テーブルにはホカホカと湯気のたつご飯や、魚にみそ汁、お浸しなどの和食が揃っていた。
あの懐かしい匂いはこれだったんだな…
「すごいや…朝早いんだね友里って」
「いえ、今日はたまたまですよ。それに今日は朝から不愉快な事があったのでね…」
「不愉快な事…?」
何だろう…ものすごく気になるけど何となく聞いちゃいけない気がする。
だって友里の笑顔が怖い…
「さて、皆さんも起こさないと」
「手伝うよ」
「ありがとう。じゃあ夜誇とあずきを頼みますね」
「わ、分かった…」
いやいや、アキを起こすのにポキポキと指を鳴らす必要があるんですか友里さん。
「明彦くーん。起きないと窒息しますよー」
「あぎゃあああ!!ギ、ギブギブー!!」
「「!?」」
アキの断末魔の叫びで夜誇とあずきが飛び起きた。
あ、起こす必要なかったらしい。
「起きて下さーい」
「ぐふっ!!おおお起きてます!!起きてます友里さーーん!!」
「コブラツイスト!中々じゃねぇか黒崎の奴!」
「友里くん…カッコイイ……」
……さて、俺は冷めない内に美味しそうなご飯を食べようかな。
(あ。この味付け好みだ…)
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