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四歳の冬。








「――――――坊主、名は」


「ひっく、…ぇぐ……っゆ、友里……」


「イイコだ、友里。泣くな」


「ぅっ……だっ、て…お、母さん…お…とう、さんがぁ…ひっ、く……」



雪が降る寒い日だった。

真っ白な空へ上る黒煙。
原形を残さないほど黒焦げになった建物。
不気味に動く人のものではない肉片。

泣きじゃくる幼い少年とその少年をあやす青年以外に、人は居ない。
少年の傍らには血まみれになった男女の遺体が横たわっているだけだった。



「男だろう?泣いてないで、ここで何があったのか話してみろ、友里」


「っく……お空からね、でっかいモノがたくさん、…きて、僕のおうちをね…も、燃やしちゃって…」


「……それで?」


「おかあ、さんと…お父さんが、僕をかばって……でっかい…、モノに……ぅ、…ぉかぁさ…とぉさ…ん……」


「……分かった、もういい友里。好きなだけ泣け。俺が居るから」


「……っうわああああああああん!!!!」



幼い少年は両手を広げた青年の胸へ飛び込み、声を上げて泣いた。
少年を優しく力いっぱい抱きしめ、青年の目から一筋の涙がこぼれ落ちた。





















「…………立派なご両親を持ったな。友里…」















幼い少年の悲痛な声は、黒煙が覆い尽くす灰色の空へいつまでも響き渡った。

















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