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詩/小説
臨機応変に判断を(最/処理班)




「‥どうする?これ」

「どうするっつっても、なぁ」

「‥随分と‥無理難題を押し付けてくるものだな」


最終処理班執務室
其処に円陣を組むように話し合う隊長副隊長、そしてその補佐


「本当、無理難題ね」

「これは嫌がらせ以外の何物でもない。‥断言しよう」

「嫌なこと断言すんじゃねぇよ」

そして三人が円陣を組んだ中心には、なんて事はない一枚の紙

問題はその紙の内容

その紙にはこんな事が書かれていた

―――依頼状

木ノ葉諸大名よりの依頼

木ノ葉の北北西及び南東部に埋まってるとされる鳥のかたどられた金と翡翠の宝玉の採掘。

人数‥最終処理班二名以上
期限‥明日早朝
花草上忍まで
―――


「不確定要素満載。埋まってるとされるって‥」

「期限が明日早朝。俺達はそんなに暇じゃない」

「無理、だな」

依頼状を見直し、一つ一つ問題点をあげる
そして再び出た結論は、不可能

「明日の朝までそれを探し続ける時間もねぇことだし、探したけどそんなもの在りませんでしたっつう事で」

「「 了解!」」

目を見合せ、解決策が見つかったところで円陣の状態をとく

ずっと同じ体勢で疲れたのか、三人共伸びをした

「見ーちゃった」

扉の外からする楽しそうな声
扉が開き、ひょいっと顔が覗く

「彩羅‥か」

「不正の瞬間バッチリ目撃しました〜!」

ばしっ
ナイスガイポーズを決めた彩羅の頭に麗遠の平手がはいる

「ウスラトンカチが。騒ぐんじゃねぇ」

「分かってるよー」

ばれないようにしなきゃね、と面白いという笑いをする

「彩羅、面白がるんじゃない」

彩羅の後ろからする少し低めの声

「栖鑼も居たのね」

「ああ、任務一緒に行ってたから」

「そーなの、楽しかったよー!」

栖鑼は性格も戦闘スタイルも彩羅とは正反対と言ってもいい程違うが、休みの日でもいつも一緒にいる程仲が良い二人

「で、何で無理なんだ?」

やはり話を途中から聞いていたらしい栖鑼の質問
それに莱騎が無言であの紙を見せる

「‥ああ、成る程。これは無理だな」

「あー!これって嫌がらせ?」

「‥やはりお前もそう思うか」

それを見た栖鑼が納得する横で彩羅は紙を覗き込み先程の莱騎と同じ意見を言う

「やだわ、やっぱ嫌がらせなのね。これは文句言いに行くべき?」

「行くべきだよ!これはもう業務妨害、営業妨害だよ!?」

「彩羅もそう思う?こんなに私達の時間を奪うなんて、私達の忙しさを知らないのかしらね」

やはり嫌がらせの可能性が濃厚、というか嫌がらせだという事に勝手に確定したようで。文句を言うということで蕾砂と彩羅の意見が一致し話が盛り上がりつつあった
そこへ麗遠の鉄拳が飛ぶ

「うるせーんだよっ馬鹿野郎共」

「いった〜」

痛いという彩羅だが表情は全く痛がってなどいない

「でも、確かに業務妨害ではあるかもしれない‥」

莱騎までもがその輪へと入ってきたことに、麗遠はお前もかという視線を向ければ莱騎が見ていたものの量に驚く

「何故なら、それから始まった言い争いによって‥こんなに仕事が来ていることに気が付かなかったからだ」

「‥‥‥」

これには騒いでいた彩羅達も固まった
‥朝にはまだこんなになかった筈、何時の間にこんなに増えていたのか。書類と任務書が届くだけで依頼した部署の者が来ないということは緊急のものではないだろうが、これは多すぎる

「私が来た時、持ってきた」

固まる皆を見兼ねてか手を挙げて告げたのは栖鑼

「何で早く言わないんだっ」

「言うタイミングがなかったから」

‥確かに。あの騒ぎようじゃ言うタイミングなど皆無に等しいだろう
全員の顔にこれどうすんの、と書かれているように見える

「‥隊長」

隊長、という声に答えるのは勿論蕾砂ではなく麗遠

「‥至急、振り分けろ」

「了解っ」

全員の声が揃う
何と何に、等と聞くものは居ない
全てを全員に均等に振り分ける訳ではない
振り分けるのは‥必ずやらなければいけないものと、やらなくてもばれないもの、に決まっている

「いつも通り、嘘は私担当でいいわね?」

「ああ、任せたぞ」

振り分けの速さ、蕾砂と麗遠のやり取りでこの作業に慣れきっているのは明白だ
「事務処理等は彩羅、莱騎それ以外は栖鑼と俺。蕾砂は全部の言い訳考えたら余ったの全部やれ」

「「「分かってる」」」

「余り全部ってひどくない?」

四人は返事をしながら(一部文句だが)既に自分の仕事に取り掛かっていた

木ノ葉最終処理班、完璧な彼らは手を抜くこともやはり完璧なようで
里一番とも思えるチームワークが垣間見えた




*end

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あきゅろす。
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