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詩/小説
いつもの話、いつもの声(灼/ネジ+ヒナ)




深夜、木ノ葉の外れ
静まり葉の擦れる音が響く中、小さな滝の前に怪しい影が一つ
堂々と滝の前に立つその人物は行動とは裏腹に気配を完全消している

(中の人数は五人、あの程度‥俺の敵ではないな)

滝の裏側が見えているかのようなことを考えている人物の目は白く、暗部の姿をしていた

その時、耳に付けていた無線から断末魔が聞こえてきた

「‥白露か、何だ」

(岩忍のスパイ共はどう?)

相手は拷問部隊総括の白露のようで、無線からは常人には聞いていられない程の悲鳴が断続的に流れてくる
「情報通り五人滝の裏に潜んでいる、今からやる所だ」

(あっそ、じゃあまた後でね。零白)

白露がそう言うと無線の雑音はぶつりと途切れた

任務は岩忍の討伐と数人の捕獲、無線がきれたことを確認すると零白は滝の手前へと起爆札を飛ばした
そうすれば爆音に驚き、中から討伐対象である岩忍が出てくる

「何事だっ!」

相当驚いたのだろうか、潜んでいた岩忍は全員外へと出てきた
そして零白を確認した忍達は素早く戦闘体勢に入る

「‥五人相手に一人とは、木ノ葉暗部は里の精鋭が集っているという噂は強ち間違っていないらしい」

「当たり前だ」

「だがこちらを見縊らないで欲しい‥なっ!」

岩忍の顔が驚愕とも言うべき表情をした
そして次の瞬間、先程まで喋っていた忍の首が空中へと飛んだ

零白は今も元の位置から一歩も動いていない
それなのに首が飛んだ忍の後ろにもまた零白がいた

「‥影分身だ」

元の位置にいた零白が揺らいで消えた
それと同時に残りの四人の内二人の首もごとりという音と共に地面へと落ち
後の二人は身動きをとることすら出来ずに気絶させられた

「任務終了、白露に持っていくか」

零白はそう言い気絶した二人を抱え何事もなかったかのようにその場を後にした
一方拷問尋問部隊では、先程無線へと漏れてきた声より全然大きな悲鳴が響いていた

其処の主音源ともいえる檻のような部屋を覗き見れば零白と同じ白い目をした女が対象の爪をゆっくりと剥がす光景が見えた

「ぐっヴぁあっ!」

「質問に答えてくれれば、こんな事しないのに。雲の抜け忍と組んでなにをしようとしてたの?」

その女の口調は優しいが殺気が全面にでている、木ノ葉の抜け忍は言葉を発するのも苦しいだろう

「‥っ言、えん‥がっぁ」

中々口を割らない相手に女は苛ついたのか顔を憎々しげに歪めクナイで相手の皮膚を削ぎ始めた
その痛みに抜け忍は耐え切れなかったのだろう、そのまま意識を飛ばした

「‥気絶しちゃった、医療部隊来て」

拷問尋問部隊では拷問対象が死なないように各尋問部屋に暗部医療部隊が一人待機している

一方零白は既に到着し、ずっと部屋の外で拷問の様子を見ていたようで少し暇の出来た女に声を掛けた
どうやらこの女が白露ようだ

「相変わらず荒っぽいな、外でのストレス発散か?」

「まぁそんなとこだけど、そんなことよりそれ頂戴」

「あぁ、任せた」

それ、と指さされた岩忍を白露へと渡す
受け取った白露は二人をそのまま檻に繋いだ

「いつ頃帰れそうだ?」

「先帰ってていいよ、まだ掛かるから」

零白の質問にそう答えた白露はまた何やら仕事を始めた

「‥いや、待ってるよ」

少し考えそう言った零白はぼんっ、という音と共に白煙を纏った
そして薄れてきた煙の中から出てきたのは、日向ネジ

「あなたも変化を解いたらどうだ、チャクラの無駄だろう」

それに白露はそうだね、と返して変化を解いた
そうして出てきたのは、日向ヒナタだった

「それじゃあ仕事を再開するぞ、朝食に遅れて氷璃に怒られるのは御免だ」

「そうだね」

零白の言葉に柔らかな笑みを浮かべた白露はすぐに目付きを変え、今の笑みが幻覚だったのかと思える程だ

「よし、じゃあ尋問でも始めようかな」

今度は断末魔ではなく、白露の不吉な笑いが部屋中に響き渡った




*end

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あきゅろす。
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