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短編


「ただいまー♪」

あの後家に帰りテレビを見ていると諸悪の根源が帰ってきやがった。

「あ、兄ちゃんいるんじゃ〜ん♪」

「いるんじゃ〜ん♪……じゃねぇよ!このボケ!
てめぇ、また変な男引っかけやがって!しかも3股とか……」

「あ、バレちゃった?つか、3股とかしてないしー」

「は?3股じゃないとか他に何があるんだよ!?」

「え、5股?」

「………………は?」

今5股って聞こえたような……いやいやいや。
いくら弟が節操ないからって5股なんてねーよ。聞き間違い。聞き間違い。

「だから5股だって。」

「だよなー。やっぱり5股だよなー…………って、は?5股だぁ?!」

「さっきからそう言ってんじゃん!」

「うるせー!もー、お前くたばれ!」

「ひ、酷いわ!かわゆいかわゆい弟にそんなこと言うだなんて!昔の優しい兄ちゃんは一体どこに行ってしまったというの?!」

「だ、ま、れ!てめぇのせいでその男どもの元カノとやらに呼び出されて大変だったんだぞ!」

「え……………………」

急に黙った弟を不思議に思い目を向けると、さっきまでのおちゃらけた感じは何処に行ったのか無表情の弟がいた。

……え?

「もしかしてその手のケガって」

「あ?そん時以外に何があるんだよ。」

「いやぁー、兄ちゃんって昔からおっちょこちょいだったじゃん?またどっかでコケたのかと。」

そう笑って言ってくる弟に少し安心しつつもその失礼極まりない勘違いに拳を握る。

「お前…………」

「あっ!う、嘘嘘嘘!!!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさいぃぃぃぃいーーー!!」

「はー。全く……本当にお前は、あんま心配かけさせんじゃねぇぞ。」

「……心配、してくれたの?」

「当たり前だ。バカ!いつもいつもお前が変な男に捕まるんじゃないかって気が気じゃねぇよ。」

「…………そっか。」

「おう。」

「ははっ、兄ちゃん恥ずかしい!」

「馬鹿言え!最高の兄ちゃんだろうが!」

「うん。ありがと。」

「あぁ。……あ、でもそれとこのケガとは別だからな。」

「えーー。」

「罰として1週間風呂洗いな。」

「最高の兄ちゃん!そこを何とか!」

「すまん!弟よ!最高の兄ちゃんにもそれだけはできないんだ!」

「そんなー!!」

後ろで何か言ってる弟を放置して風呂場に向かう。
全く俺の弟には困ったもんだ。
顔が似ているからいつもあいつへの流れ弾が俺に来る。

でも。それでも簡単に許してしまう俺は結構なブラコンなんだろう。






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