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The Dolce Earth
Jerez

 ぼくは、星の子です。







 星の子は、青い硝子玉のような星から生まれました。
 星の子は、この星が大好きです。
 今までたくさんの生きものをみてきました。
 星の子のお仕事は、バランスを保たせることです。
 生きものたちの、バランスを考えて、動かすことです。
 植物が増えすぎたときは、動物と虫たちにお願いします。
 草食動物が増えすぎたときは、肉食動物にお願いします。

 食物連鎖というピラミッドは、自然なままになされていきます。

 大地の子には地を震うよう、
 風と雨の子には嵐を起こすよう、

 山の子には噴火させるよう、

 色々なことをお願いして起こしてもらいます。
 この星を生き長らえさせるために、たくさんのことをお願いします。

 ―――ぼくは、地球が大好きですから。

 あるときからすごい早さで進化していく生物がいました。

 “にんげん”です。

 彼らは色々な生物をとらえ食します。
 自ら植物を育て食します。
 ことばによる伝心をはかります。
 火を使います。武器を作ります。

 だから星の子は、彼らに何よりも細やかな“こころ”を与えました。
 他の生物にはないような“こころ”を授けたのです。

 人間は増えていきました。
 しかし、心がある故に、争いを始めました。
 生きるためではなく、一番になりたいために戦うようになりました。
 そうして、人は人でバランスを保っていました。

 やがて世界から“戦争”という争いが治まってくると、今度は“病”や“災害”をもたらせました。
 “こころ”が細やかなせいで、自ら命を絶つようになりました。

 ―――バランスを保たせるためです。

 さあ、もう一度考えてください。
 ほら、もう一度考えてください。
 すごいことでしょう?
 すごいことでしょう?
 食物連鎖のトップは、どうやってバランスを保つのか。

 ―――そう、“こころ”ですよ。

 “だから”授けたのです。
 いいですか、もう一度言います。

 “自然なままに”なされていきます。

 “にんげん”は、“しぜん”の一部なのです。
 なぜ分けて考えるのでしょう?
 特別だから?
 “こころ”があるから?
 何かを作れるから?
 そうですね、何よりもそれに長けているでしょう。

 ―――それ故に、病むのです。

 では、最後にもう一度言いましょう。









 ―――星の子は、“地球”が大好きなのです。










【Jelez《ヘレス》】…(西)シェリー酒。辛口は冷たくして食前酒に。

 存在を認めなければ、いないのと同じ。さあ、あなたはどう思いますか?

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