短編倉庫
その名は不運 (伊作)
幼い頃、僕はそれと出会った
はじめまして あなたはだぁれ?
あなたがだいすきなの
ずっとずっといっしょよ
それはとてもきれいで
しかしみにくくて
だけどうつくしくて
すごくきたない
おとこのようにたくましく
おんなのようにたおやかで
そのあいらしいしゅうあくなてを
あなたは
ぼくの
うでにからめた
それが『はじまり』。
「おい、伊作。そこ落とし穴があるから気を付けろよ」
「ありがとう留さん」
あれから年月を経て僕は今ここにいる
もう僕の目にアレは映らない
でもご安心あれ
「おわ――――――――――っ!?」
「伊作―――!今助けに…ぎゃああ――!!」
ほら、
まだ僕の腕に手を絡めてる
そして気づかないうちにそれに気に入られて裾を引かれかけている留三郎。
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