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僕だけの。
狂わしたのは僕?

晃は僕と違って誰からも愛され頭も良くて喧嘩も強くて容姿に恵まれている。
そうすべてが恵まれている。
…僕と違って。

僕は家族も友人からも愛されてないし頭も全然良くない喧嘩も弱いし寧ろパシり扱いで容姿は…醜い。デブでブサイクで無口だ。

そんな僕と誰からも愛されている晃とは次元が違う。
ブサイクな僕と晃が仲がいいのが気にくわないのか晃のことが好きな人からたまに呼び出されるときがある。
女の人や、…男の人にも。


「あんたが山田幸?」

今日は男の人達に呼び出された。
どうやら晃のファンらしい。
僕よりも可愛くて僕よりも晃にふさわしい人達が。

「だっさー…」
「あんたみたいなデブが晃様の傍にいると晃様が迷惑なのよ!消えて!」

集団で僕は色々と言われるが僕はただ黙っていた。

(僕だって…貴方達の言うとおり消えたいよ…)

「晃様はあんたを仕方なくいてあげてるのよ!気付け!消えろ!死ね!ブス!デブ!晃様は私の私の私の返せ返せ返せ返せ返せ返せ!!」
リーダーっぽい人にひたすら『返せ』と言われ続けた。
どうやら彼も晃の魅力に気付き狂ったみたいだ。

(晃…君はどれだけの人を狂わしたの…?)


「なに、やってんの?」

声の主は、僕を後ろから抱きしめる。
振り向かなくても分かる。

「…晃様」

晃のファンの皆がそろって彼の名を呼ぶ。

「幸大丈夫?こわかったでしょ?よしよししてあげるよ?だっこしてあげる!」
「…晃、大…大丈夫だか…ら」

晃を落ち着かせるため安心させるために考える。…が、何もない。
無言の僕を見て晃は晃のファンに殺意を込めた目をしていた(らしい)

「さぁ…幸、帰ろ?俺の家でたっくさん慰めてあげるからね!」

晃が僕の頭を撫でながら優しく言う。
言い終わってから晃の顔は晃のファンの方を向く。

「……幸とお遊びしていいの俺だけ…幸と話していいのは俺だけ…幸は俺のもの」

「ごっごめんなさい…晃様」

皆がそろって同じことを言う、涙を流しながら。
僕は晃を止めようとしたが出来なかった…、いや出来なかったではない出来ない、だ。
晃が怖かった。


こんな風になったのは僕のせい。

晃が僕と出会い狂い、晃を好きな人も狂い、僕も狂った。


すべて僕のせいだった。





男達の叫び声が響く。



‐‐‐‐‐

男達の叫び声を聞きながらひたすら謝り続ける…

‐‐‐‐‐



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あきゅろす。
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