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桜の夢。
桜吹雪
(中学校は何やったんだっけ…思い出せないや…なんで…?)
「はーい、皆さん、早く新しいクラスに入りましょう」
「あっ、はい…」
階段を上りながら考える。
(本当になんでなんだろう…。後で桜也に聞いてみようかな…)

* * *

「ふう、やっと入学式始まる…」
講堂に移動中、人波の中に桜也の背中が見えた。
「桜也!待って!」
思わず声をかける。かなり大声で呼んだはずだけど、全然気付かない。
「桜也!」
それでも気付かない。どんどん背中が遠ざかる。
結局人混みに紛れて見失ってしまった。

* * *
「やっと帰れる…早く桜也に聞こう…」
一年五組の前で桜也を待つ。
五分が過ぎた。一年五組の終礼が終わった。
一気に人が出てきた。しかし、桜也はいない。
(支度が遅れてるのかな…もう少し待ってみよう)
十分が過ぎた。まだ出てこない。
(もう帰ろうかな…)
諦めて帰る事にして、階段を下りる。すると、軽く肩に手をかけられた。
「ふぇ!? 桜也?」
「遅くなってごめんな、優芽。」
「よ、よかった…」
「ん?何が?」
「いや、なんかさ、中学校の時に何やったか、全然思い出せなくて…」
「ん?中学校?ちゃんばらごっこしたり…ままごととか…」
「あー…そんなこともあった気が…」
「後は…あれ?なんだろう…断片的だけど、地面のコンクリートとか…屋上…ん…赤い色がチカチカする………う…優芽…!?」
突然、二人を激しい頭痛が襲ったのだ。
「うううぅ…う…頭…い…だい…う…」
「優芽…大丈夫………か…?うぁ…」
(意識が…遠のく………)

* * *

私は、屋上に立っていた。でも、一人じゃなかった。屋上の金網を越えた所に、誰かがいた。
誰なのか、目を凝らして確認しようとするが、わからない。《そのひと》の部分だけ、霞がかったようになっている。
「あなたは…誰?」
《そのひと》が振り返る。
「優芽」
「え…?」
「優芽!」

* * *

「ん…」
ぼんやりとした目に飛び込んできたのは、光の乱舞。色という色が目に突き刺さる。
「優芽!起きた!?」
「あ…」
ようやく自分の目に涙が溜まっている事に気付いた。手で拭う。
「私の事、分かる!?」
まだ頭がぼんやりとしていて、誰だか分からない。
「ごめんなさい、まだ頭がぼんやりしてて…誰ですか?」

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