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桜の夢。
桜の季節。
ーーー
何故だろう、毎年桜の季節になると、どこか懐かしいような、大切なことを忘れているような、そんな気がする。ただの気のせいかもしれないが、今年は特にそんな気がした。

ぼんやりと桜吹雪を見る私の頭に、桜の花びらが、ふわりと一枚。
「おい、優芽。頭に桜のせて、何してるんだ?入学式なんだから、余裕持って学校行けよ。俺先行ってるぞ」

私の耳に入ってきたのは、幼なじみの桜也の声だ。そうだった。今日は蓮花高校の入学式だ。桜也も同じ高校だ。桜の木から目を離し、頭の上に乗った桜の花びらを取る。そして小走りになりながら、桜也を引き留める。
「待ってよ桜也!」
「なんだよ、一人だと寂しいか?」
そう言ってニヤニヤしながら私の方を振り返る。
「ちっ、ちがうよ!!一人だと寂しい奴って思われるじゃん。それに、人見知りだから、なんか不安で…」
「結局、寂しいんじゃん」
「うう〜…」
今度は私の頬をつんつんつついてくる。
「ははっ、リスみたいだな。」
「ど…どういう意味〜?…」
「いや?リスみたいで可愛いなって。」
ん?桜也は今何て言った?
「え?」
「いやだから、優芽がリスみたいで可愛いなーと…」
「ばっ…馬鹿じゃないの!?何サラッと…」
「いや、本心だもん」
桜也は昔から直球すぎるんだよもう…
「………///」
「………///」
(どうしよう…!!お互い照れと気まずさで話が続かない…。)
「…も、もう、学校着くから…同じクラスになれたらいいね///」
「ん?…はは、そうだね。楽しみだなあ…」
校舎に入り、新クラス名簿を見る。
……私の名前…私の名前…あった。一年三組だ。桜也は…ええっと…一年…五組。
クラスは離れてしまった…
「桜也、…クラス離れちゃったね…」
「休み時間とかに優芽のクラスに行くよ。だから、大丈夫。」
「わかった。」
「うん。じゃあ、クラス行かなくちゃ。また帰りに。」
「うん。じゃあね」
階段を上って行く桜也の姿。見ていると自然に昔を思い出す。
(小さい頃、よく一緒に遊んだなあ…楽しかった。
ずっと好きだったんだ。
だけど…なんでだろう…何故か違和感がある…
あれは…全部本当に桜也だったのかな?ブランコに一緒に乗ったのは、桜也だったっけ?中学校は?………あれ?…中学一年生のころは………何…やったんだっけ…何も思い出せない…中一の時…なんかあったっけ…?)

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あきゅろす。
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