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神様とその子供たち
006※


ロウは返事をせず黙って僕を抱き締めた。そしてしばらくの後、勃ち上がったそれをあてがいゆっくりと挿入した。

「う…っ」

指とは比べ物にならない、熱くて固いものが侵入してくる感覚に震える。痛いの半分、気持ちいいの半分で驚いた。てっきり痛いばかりだと思っていたので、きっとロウが上手なのだろう。しかしそれ以上に満たされるような満足感があった。僕の全部を彼のものにしてほしかった。

「は、入った…?」

「ああ」

ゆっくりとロウが腰を動かし始め、時折気持ちの良くなるところに当たりそのたびに身体が跳ねた。大声をあげてしまいそうになるのを必死で堪える。

「うっあっ…あっ、あっああ」

「もっと声が聞きたい。我慢するな」

したくてももう我慢ができない。逃げ出したくてもしっかり腰を固定されてしまっている。挿入を繰り返されてるうちに、僕の方が再び果ててしまった。

「カナタ、愛してる」

「ロウ様…っ」

僕の精液がロウの身体にも少しかかってしまい謝りたかったがもうそんな体力もない。脱力する僕の中にまだロウはいた。ロウは自分が汚れてもそんなことは一切意に介さず僕の全身を愛撫し、どこにでもキスをした。

「こんなことができるなんて、夢みたいだ」

百戦錬磨のロウが何も知らない未経験の僕とこんなことをして満足できるのかと思っていたが、杞憂だったらしい。どうやらロウがとても喜んでいるらしいことが嫌でもわかる。

「ありがとう。カナタ」

ロウは僕の首筋を吸ったり舐めたりしながらも、下半身を打ち付けるスピードを少しずつあげていく。彼のものはまだ僕の中で芯をもったままだ。

「あっ、んっ、あ、あ、や、う」

彼はいわゆる絶倫というやつなのだろうか。ロウだって感じているはずなのに同じ固さを保ったままだ。何となく、ロウが手加減しているのではないかと気づいてしまった。人狼と人間では体のつくりも体力も違う、普通にやれば死ぬかもしれないと以前ナナに言われたことがある。いま僕が平気なのはロウが加減してくれているからに違いない。

「ロウ様…、もっと、ロウ様の好きに…してください…んっ」

「カナタ?」

「我慢しないで……」

「……それは無理だ」

「どうして」

「カナタを傷つけたくない。俺が好き勝手してお前が痛い思いをするなら、こんな行為に意味はない」

「……っ」

多分でも今だけでもなく、僕はロウに愛してもらっている。そう思ったら涙が出た。少し前まで僕の存在すら知らず、初対面では邪魔者として僕を扱っていたロウが僕を好きになってくれた。再び僕の方からロウに口付ける。誰のものにもなれないはずの彼が自分だけのものになった気がした。

「それを言うなら僕だって、ロウ様に、いいって思って欲しい……っ」

「めちゃくちゃいい。最高だ」

「ほんとに? なら、良かった……」

ロウは我慢しているせいか時々苦しそうな顔をするも、僕を見つめる目は満たされていた。苦しさで荒くなっていたはずの呼吸が甘いものに変わっていく。しばらくの律動の後、ロウが動かなくなった。

「? ロウ様…?」

「やべえ、出る…」

「……いいです。そのまま、出してください……」

ロウの熱を直接感じたい。それにロウだって抜いてしまうより中に入れたまま出した方が気持ちいいはずだ。ロウは「お前ってほんとに…」と呟いた後、再び動き始めた。

「ああ、あああっ…」

気のせいかもしれないが太さも長さもこれまでよりある気がする。でも痛みはない。身体の奥を貫かれる感覚とこんなに奥まで入るものかと恐怖すら感じた時、中に熱いものがドクドクと流し込まれた。

「カナタ……」

「……熱い」

身体中がロウで満たされた。射精時間が人間の僕とは比べ物にならないくらい長く大量の精液が流し込まれたのがわかる。ロウが僕の中から出ていくと、おさまりきらなかった精液が溢れだす。ロウは少し僕に覆い被さって脱力していたが、すぐに僕を抱き上げた。

「中に出したら腹を壊すらしい。今すぐ洗い流さねぇと」

「?! それホントですか?」

「ああ。ゴムつけとくべきだった。……ごめん」

「……」

女性と違って妊娠してしまう事がないからそういう発想がなかった。冷静になってみるとなんて事を彼にさせてしまってるんだといたたまれなくなった。

ロウは僕をバスルームに運んで中を洗おうとしてくれたが、すっかり頭が冷えていた僕は自分でやると言って無理やりロウを追い出した。


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