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神様とその子供たち
004※


ロウは僕を座らせると後ろから抱き締める。安心するような不安になるような不思議な感覚だ。

「怖がることなんてない。俺はお前を傷つけない、俺が本気だってことわかってほしいだけだ」

「嘘をついてるとは、思ってないですけど…」

僕の自己評価の低さをなめないでほしい。自虐的になっているわけではなく、それが事実だ。それに自分の気持ちすらわからないのに応えてもいいのかすらわからない。

「……昔、俺は好きな奴がいた。今までそいつしか好きになったことがなかった」

好きな人ときいて、奥さんのことだとすぐにピンときた。以前イチ様から母親の話を聞いたことがあった。

「そいつは寿命をまっとうして、多分幸せに生きたと思う。でも俺の夢に何度も出てきて、俺の目の前で殺されるんだ。人間に」

「ど、どうしてですか」

「わかんねぇ。夢ん中だから何でもありなんだろうが、そんなの見せられたら夢だってわかってても頭がおかしくなる。多分、不眠の原因はこれだろうな」

ロウの悪夢は話を聞くだけで僕も眠りたくなくなる。寝ている時にうなされていたのはこれが理由だったのか。

「お前の匂いはあいつのとよく似てる。だからお前がいると眠れるようになるんじゃないかと思う」

「僕?」

僕の匂いがロウの奥さんと似ている? 共通点など多分一つもないと思うのだが。しかしそれならばロウが僕を特別扱いしているのにも納得がいく…。

「わかって欲しいのは、俺は別にカナタをあいつの代わりにしたいわけじゃない。匂い以外に共通点なんてないしな。前にお前、俺のために泣いてくれただろ」

「泣いた…?」

いつの話だと思ったが、四群であったロウの暗殺未遂事件の時のことだと思い出す。あの時は本当に死んでしまったと思って心臓が縮みそうだった。

「あれはただビックリしただけです。ロウ様が死んでしまうと思ったから」

「赤の他人のくせに、俺が死ぬかもってんで泣いた人間はお前が初めてだ。あの時からカナタは俺の特別だった」

「ロウ様のために泣く方ならたくさんいるじゃないですか」

泣くどころかロウがいなくなったら後追い自殺でもしかねない。皆がロウのことを己よりも大切に思っている。

「人狼は全員身内みたいなもんだから、あいつらが俺のことが好きなのも俺を特別視してくるのも当たり前のことなんだよ。でもお前は違う。俺が生きてたってカナタには何のメリットもないし、むしろ死んだ方が都合がいいくらいだろ。でもお前は俺がいなくなることを悲しんでくれた。だから俺はお前が好きだし、一緒にいると幸せになれる。すぐには信じられないだろうけど、疑うのはやめてほしい」

聞けば聞くほどまっとうな告白なので、もう逃げようがなかった。ここまで言われればロウが僕のことを好きだというのは本当のことなのだと思える。それが勘違いとか一過性のものだという可能性はあるが、今のロウは本気だ。

「あり…がとうございます。うれしいです」

ロウは多分この国で一番好かれていて、誰からも必要とされる存在だ。そんなロウが僕を好きだと、特別に思ってくれていることはとても嬉しい。自分の存在が認められたみたいだ。今の僕が記憶から消そうとしてる“彼”がいなければ、すぐにでもロウを受け入れていたと思う。

「だから今もかなり無理してる」

「えっ」

「もう我慢できねぇ」

「わあっ」

ロウは僕を押し倒しキスをするとそのまま下半身に手を伸ばす。縮こまっていた僕のモノに優しく触れ刺激を与える。やめてだとか嫌だとかいう言葉は口を塞がれていて何も口にできなかった。

「んんっ…ん……」

やんわりと勃ち上がる性器をだんだんと強く握られ刺激され続け、そう時間がかからないうちに果ててしまう。他人の手に触られた経験ならあるが、ロウは僕の感じるところが手に取るようにわかるのか自分で触る以上に気持ちが良かった。僕が射精してもロウが僕に触れるのをやめることはなく、それどころか僕のモノを口に咥えた。

「えっ、そんな、ロウ様…!?」

そんなことは勿論女子にだってしてもらった事はないし、してほしいと思ったことすらない。完全にロウに奉仕されているのだとここでようやく気づいた。

「あっ…ああ…嘘……」

口淫されながら後孔にも指を挿入され痛くない程度に刺激される。一本、二本と少しずつ指を増やされかき回された。そこに痛みはなく、前と後ろただひたすら快感しかなかった。


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あきゅろす。
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