1 そんなある日、一人の人間が天使に問い掛けました 「どうして貴方には翼があるのですか?」 急に問い掛けられ 戸惑う天使に、人間はまた 質問をします 「どうして私には翼がないのでしょう…」 そう悲しげに言いながら、人間は空を見上げると、その先には沢山の天使たちが飛んでいる光景が広がっていました その人間の姿を見つめながら 天使は自分の胸が苦しくなるのを感じました 「私も貴方のように 自由に空を飛び回りたい。 そうすれば貴方と一緒にいられるのに……」 いまだ 空を見上げている人間は、そのまま 黙り込んでしまいました そんな人間を放って置くこともできないので、天使はある提案をしました 「翼が欲しいのなら 神様に頼んでみてはどうかな」 そうすれば君とずっと一緒にいることができる 「神様に…ですか? でも、私には神様のもとへ行くことができません……」 「…そう、だね。 じゃあ、君の替わりに頼んで来てあげる」 「えっ、ですが……」 そう言うと人間の話を聞かずに、天使は空高く飛び上がり、次第には見えなくなりました [*前へ][次へ#] [戻る] |