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Faker

あれから十分程経ち視界が木ばかりになったころ慧が急に立ち止まった



「圏外かよ……」



学校に電話しようにも携帯は圏外
学園内では携帯が使えるみたいだけど、此所は無理らしい

さっき慧に聞いたんだけど、どうやらバスは時間より早く出発してしまったようで、駅員さんは歩いて行くしかない、って言ってたみたい




「もう、遠いー」


「後もう少しの筈なんだけどな」





慧も私も歩き慣れない山道に疲れ果てていると後方から一台の黒い車が見えてきた



「あっ、車! 乗せてもらっ……うぁっ!?」



私が言い終わらないうちに、慧が私を森の中へ引っ張り込んだ


その少し後を車が横切っていく




「馬鹿か!」


「へっ? な、なんで馬鹿なのよっ!」



そう答えるとまた頭を殴られた


「あの車にリュウが乗ってたらどうすんだよ!」


「うっ……でも違う人かもしれないし?」


「でも、さっき駅にいたのアイツだけだぞ?」



「確かに……」




慧の考えは深すぎて私には分からないよ



ただリュウに会うのはマズイっては分かる
だって喧嘩したときの去り際に、俺のこと忘れんなよ!って言ってたもん
きっと私がリュウに勝ったから、仕返しするつもりなんだ
会ったら絶対にボコボコにされるよ、私!


「まぁ、とにかくアイツには近寄るなよ」

「当然!」



私達が零桜高校に着いたのはそれから一時間は先のことだった






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あきゅろす。
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