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不思議の国のアリス

「入っていいわよ〜」


扉を背にしたまま鏡を眺めいると、扉がギィーと音をたてて開いた

チェシャ猫にしては随分静かね

気になり鏡越しに扉を見ると、そこには白いウサ耳を生やした人物が立っていた



「なんだ、白兎か」


「なんだとは酷くない? せっかくアリスのためにこんな朝早くから迎えに来たのに…」



そう言いながらも、白兎にはちっとも落ち込んだ様子が見られない



「白兎って顔に出ないタイプよね」


「そう?」



にこりと微笑みながら内心じゃ全く逆のことを考えているんだろうなぁ



「で、白兎は何しに来たの?」


「だから、迎えに来たんだって」



あぁ、そうだっけ



「何処に?」


「お茶だよ。 約束したよね?」



んー、そうだっけ?



「まさかとは思うけど、僕との約束…忘れてた?」



さっきからの作り笑顔が段々と怖いモノになっていく

こうなったら、アレだ…
もう一人の白兎…、黒兎の登場




「いい度胸してんじゃねぇか、アリス」



あーぁ、黒くなっちゃった

白兎は切れると黒くなる、
そんなこと本当の話じゃないって?


仕方ないじゃない、私の国なんだから






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