不思議の国のアリス
〃
「何考えてるの?」
ぼーっと突っ立ったままの私を見て怪訝そうに尋ねる白兎は、この前のことは忘れてるみたいだった
私もめんどくさいので掘り返したりはしない
「んー、別に…ぼーっとしてただけよ」
「ふーん。 ねぇ、アリスは今からお茶会に行くんだよね?」
そういえばこの間もこんな感じの話してたような……
無言で頷くと白兎は私の手を握りしめ、スタスタと歩き出した
「…?」
白兎は私の顔を見ずに言う
「この前は一緒に行けなかったから…」
………やっぱ覚えてたか
この様子だと間違いなく薔薇園の方へ向かっているんだろう
「忘れてたとでも思った?」
さっきまで純粋な笑顔などあっという間に消えて、今度は黒い笑みで問い掛けてくる白兎
「まぁ、いいや。 早く行こう。」
でもこの間のことなど どうでもいいのか、白兎はそんなに気にしていなかった
その代わり歩く速さが半端なく速い
背丈もそれほど変わらない筈のに、これは足の長さの問題なのかな?
少なからずショック
「早くしないと馬鹿猫が追いかけてくるよ」
「だからって、そんな急がなくても…(私はチェシャ猫がいたって別にいいし)」
皮肉の意を込めて言うと、急に白兎が立ち止まったので、私は勢い余り白兎の背中にぶつかった
「…ゴフッ!?(鼻血でたかも…)」
「僕はアリスと二人っきりがいいんだよ」
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