トラベルマン
4
キィ―――!
キィ―――!
「!」
わたしは鳥たちの鳴き声に顔を上げた。
向こうから鳥たちのまとう明るい炎の光がやってくるのが見える。
「クレッシュ!」
わたしは鳥たちを迎えた。
1羽の少し他よりも大きな鳥がわたしの伸ばした腕に降り立つ。
「どうだった?」
わたしはクレッシュに聞いた。
クレッシュはなにも応えず、ただじっとわたしの目を見つめている。でも、わたしにはクレッシュが何を伝えたいか、ちゃんとわかるのだ。
まぁ、自分の分身みたいなもんだからね。
「出口見つけたのね」
わたしがたずねると、クレッシュは小さくうなずいた。
「攻撃は?した?」
もう1度、小さくうなずく。
どうやらクレッシュが言うには、真っ暗な空間に白い光の漏れる切れ目ができていて、そこを攻撃したらしい。そうしたら、ちゃんと切れ目はどんどん大きくなっていき、人1人分は入れるぐらいになったというのだ。
「さすがね。よし、じゃあ行こうか」
そう言って、わたしが歩きだそうとした時だった。
ドオォォン!!
「―――!!」
突然、地面が揺れた。
「!?なに…!?」
ズゥゥン!!
キィ―――!
クレッシュが鳴く。
ドオォォン!!
振動だ。
「…どうやら、ホントにスーパーが来たらしいわね…」
わたしは悔しげに天井を見上げた。
「任務を全うするためには、他のやつらの命なんて惜しまないってか」
上等!
キッ!
クレッシュがわたしの頭の上を旋回する。
「わかってるわよ。絶対にこいつ退治して、ついでに生きて抜け出してやるんだから」
わたしはにやりとして言った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「よっ!」
ビュン!
良貴が次々に怪物に短剣を投げ、ダメージを負わしていく。
「グオォォォ!!」
「良貴!もうやめろ!志が危ないだろ!」
「そうだよ!ちょっと様子見ようよ!」
龍瑠と洸が叫ぶが、良貴の耳には入らない。
―――…くそっ
龍瑠は自分の短剣を握り締めた。
「あのアホ…!」
ダッ!
「龍さん!」
龍瑠が駆けだす。
バッ!
「―――!!」
そして、地面を蹴って、武器を投げようとする良貴の前に立ちはだかった。
「龍!?なんの真似だ!」
「それはこっちのセリフだ!怪物倒して志が戻らなかったらどうする!?もっと他に作戦考えるべきだろうが!」
龍瑠が良貴の胸ぐらをつかんで叫んだ。
「けっ!相変わらず甘いな!そんなことしてるヒマねぇっつったろ!抜けだせなかったらあいつがそれまでの女だったってことなんだよ!」
「そういうわけにいかねぇだろ!あいつは仲間だろうが!」
「仲間!?ただの同僚だ!勘違いすんな!!」
「……とにかく、今攻撃したらあいつが危ない!やらせるわけにはいかねぇ!」
「フン!やってみろ!やれるもんならな!」
「……っ」
良貴が刀を振り上げる。龍瑠も短剣を構えた。
―――…!!
「龍さん!!」
洸が叫んだ、その時だった。
ピキ…パリパリ…
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