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幻想詩編
嘆きノ唄

私は昇ってゆく

過ぎ去るものが

下へ下へと流れてゆく


遠い、とおい、そらの下

また誰かが、泣いている

誰もが、気付かないフリ

明日の我が身を、知るのが嫌で


こんなにも、速く

其処へ飛んで行けるのに

私はいつも

画面ごしに、溜め息ばかり

「何を怖れているの」

でも私は、飛び方を知らない

平和へ進め、と説いて

一行に進まない


豊かな子どもは

平和を知らない


涙が、声が

今にも枯れてしまいそう


私は昇ってゆく


「何処まで昇ってゆくのです?」

「貴方が足を止めるまで」


悲しみが足元へ流れて消える


今日も、きょうも、あのそらの下

また誰かが、戦っている

もう誰も、信じられなくて

鏡越しに、影を撃つ


こんなにも、近く

言葉の壁すら、越えたのに

私の耳には

君の悲しみが、届かない

銃を持った子どもたち、戦いへ赴く

何も知らず、何も知らぬまま

火に焼かれてゆくの

貧しさから逃れたい

自由を求めて、人を撃つの


神様も大人も、国も村も、みんな

何故、子どもに人を撃たせるの

嗚呼

泣いている僕がいる

助けてほしくて、泣いている

隣ではまた、子どもが死んだ

怖くてこわくて、泣いている


お願い、助けてあげて

涙で溺れてしまう


「何でこんな事に」

「実にありふれた出来事ですよ」


船を出して

怒りの波から

可哀想な子供を救い出して


「ソレが貴方の生き様?」

「世の歪みと変わりませんね」


私は昇ってゆく

もう足元は見えない


「何故こんなものを見せるのですか」

「ソレが人の生き様だからでしょう?」


暗い中にある光を目指して

私は飛び降りる

今度は私が光になるから


足を止めると

世界はこんなにも近かった



「いらっしゃいませ」

「では、上に参ります」



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あきゅろす。
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