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幻想詩編
冷雨に踊れば
静々 流れに打たれ流されて


落ちた子は何処へ行こうか


大きな雨粒に

余りに小さな子は

ただ、残酷である



誰かがその子を買うといふ

誰かがそれを拒むといふ

濡れた子を見て

誰も買おうとはしなかった


空を見上げた子の瞳を

雨が潰した

子の血と涙を

雨が流した


子の髪を雨が叩く

子の腕を雨が奪う

子の背を雨が叩く

子の足を雨が拐う

子は泣いたが

声だけは奪えなかった


子は暗い中歌った

雨は子と踊る

子は踊ったが

雨は歌わなかった


雨は泣き止まず

子は枯れ果てず

子と雨は

血を流して踊った


雨は子を叩くのを止めず

子は凍え歩みを止める

震える声は

雨が流した




やがて雨が泣き止んだ

目を上げた先には


子は居なかった





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