幻想詩編
月白風清、如此良夜何。
枯れない夜空に浮かぶそれは
一括りに 人を追う
善にして黒く澱る
まだ見えぬ白
放つ 常呂は器
讃えよう
歌声と共に野を走るそれは
薄っぺらな愛で 人を包む
美しいが軽く
柔らかく冷たい
出入りは無く 空より地より
讃えよう
讚美の歌とは云わず
酒を傾け 女を囲え
美しい物 独り占め
それでこそ 人
笑わせて 笑え
自嘲も合わせ 噺を聞こう
それこそが 人
情けに 花を
天の命水 月の雫
死後に 微笑
此処は 空
お好みで 父と母に刃を
反旗は燃え 残る者は散り行く
稀代の道化 予言者の大いなる嘘
讃えよう
許そう 全てを
枯れたのに手足が求む
静かな人に 沈黙は愛だと
向かうところに 何も無し
ただ 其処にあれ
いつか 硝子の瞳が気付く時まで
椅子に沈み 目を閉じる
永遠を 願いつつ
[←前][次→]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!