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幻想詩編
月の踊り子
花を揺らして 月に踊る

その心は 青い硝子

清浄 双眼に置きながら

舞う


つま先で支える

重い 羽は空の色

背の骨に頼って頭蓋は笑う

こんなにも

泣いているのに...


月に踊りながら

憎いのか 空の色

割れた硝子を握りしめ

夜を奉る

月に願い 踊りたい、と


帰らぬ答え 月と日は変わらず


一つも溢さぬように

手のひらで すくって溜めた

願い事は

指の間から流れ

無くなっていた...


弦を張り 月に矢を向ける

切っ先は届かず

矢は還り 自らを射抜く

痛みは届かず 全て己へ


手を繋いで昇る

月光の連ねは青く

行き先を仰ぐ

二段目でもう一度


牙を剥いて 声枯らして叫んでも

遠くの色には 及ばない

波紋は拡がり 拡がり 消える

私の願いのように...


月で踊る

青白い砂を踏み

星空を纏って 舞う

夜の中で 寄り添いながら

「目を被う手を退け

顔を上げれば

こんなにも近く こんなにも同じ夢

気づかなかったのも私

拒んでいたのは私」


月の中で 踊り子たちは舞う

光に誘われ 闇を連れ

指を鳴らし 花を揺らし 舞う

初めから そう在る様に...



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あきゅろす。
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