何か?
10
…
『え…?』
泣きそうな声が出た。
だってサチが、
「や、だから私は家から今の大学通ってるわけで、そのほうが楽だし、親にも心配かけないからこれからもそうしたいの」
「だから、今はまだ暮らすのは無理」
……と、言ってきたから。
『やだ―なんでだよ―。』
「さっき言ったでしょ」
そんなん納得いかね―!
逃がさないとばかりに抱きしめる。
強く強く。
「はあ…」
ため息をつかれて、思わず肩が揺れた。
呆れられた?
嫌われた?
『サチ〜…』
嫌われたくないけど離すのも嫌だ―。
「…わかった。週末だけ、ね。いい?」
思いもよらない方向に話が転んだ。
やった!!
『う―、ありがと―!』
ぎゅうぎゅう抱きしめる。
「ゔ、……ぃい…加減、私死ぬ…」
それでも少し緩めるだけで、しばらく離さなかった。
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