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Zill O'll infinite
My DearG
「……何をやっているのかしら、あなたたち?」


扉の向こうから転がり落ちてきた人物達の頭上に仁王立ちになって、ドスの効いた声音でイリアが呟いた。




「う、うふふふふ……そんなに怖い顔しないでよイリアったら」


「あーもうっ、アイリーンが興奮して悶えたりするからバレちゃったじゃない!」


「私の所為だって言うんですか!カルラ様こそ鼻息荒くなってましたよ!」


「うわっ、そーゆー事言っちゃう訳?ひどいんだからもう!」


折り重なるように倒れこんだアイリーンとカルラの二人。責任を押しつけ合っているようだが、イリアにとっては二人共同罪だ。










「そしてそこにもいるんだろう?不粋な輩ども!」


もう片方のバトルブレードを、備え付けのクローゼットに投げ付けるレムオン。


その中から更に新たな人物達が転がり落ちてくる。







「……あちゃ、やっぱバレたか」


「いったーい!エステル早くどいてよう!潰れちゃう〜!」


「エステルにルルアンタまで……」





盗み聞きされていた怒りよりも、あの狭いクローゼットの中によく二人も入ったものだと感心してしまったイリアであった。


……もしかしたらティアナやアトレイアの部屋のみたいに隠し通路に繋がってるのかもと確認してみるが、それはどこにでもあるような普通のクローゼットであった訳で。









「ベランダにも二人いるな……大人しく出てこい!」



ばたんっ、と開かれた窓の向こうにはまたまた新たな人物達の姿が。







「こ、これは感動的だ!キレイだよイリアっ!早速歌にしなければ〜!!!」


「ううっ、姉ちゃん……俺、嬉しいような淋しいような……っ!」


「レルラにチャカじゃないっ!あんた達まで何やってんのよ!」







ここまでわらわらと出てこられては、恥ずかしがるよりも驚きや情けなさが先に来てしまう。
新たなるギャラリーまで呼び込んだエステル達に逆に感心してしまったり。












「よし、これは是非私達の部下にも教えてあげなきゃねっ!イリアのファンってウチには結構いんのよ〜?」


「止めてよカルラ〜っ!」


「では早速参りましょうカルラ様!私も尽力致します!」


「きゃーやだアイリーンったら何考えてるのっ!」


イリアの叫びも虚しく、二人は神速の速さで駆け出して行ってしまった。







「じゃ、続きをどうぞお二人さん!ボク今度こそ行くから!」


「今更続きなんてできるかあっ!変な気利かせすぎよ〜っ!」


何故か窓から飛び出して行ったエステル。間者か盗賊みたいなノリらしい。







「よし、この感動的な歌をみんなに聞かせてあげなきゃ〜!」


「ちょっと待てレルラ!歌ってもう出来たんかい!そして皆に聞かせる気なの!?」


イリアの制止を振り切って、皆に歌を聞かせるべく飛び出して行ったレルラ=ロントン。周りなんてさっぱり見えていない様だ。







「くそっ……姉ちゃんを泣かしたら容赦しないからなっ!うううっ……」


「ってあんたが泣かされてどうすんのよ」


大好きな姉を取られて悲しいのと、でも姉が幸せになれて嬉しいのとで号泣するチャカ。シスコンはまだまだ卒業できない様である。


「もうっ、チャカは気が利かないんだから!ほら行くよ〜!」


「やっぱり嫌だぁ〜!姉ちゃ〜ん!!!」


……やはり許せなかったらしく、名残惜しげな悲鳴を残し、ルルアンタに引きずられるように退場していったのだった。









「……それで私達にどうしろと?」


「……今更そんな事を言われてもな」


「もう今夜は寝ましょう……」


「そうだな……」








雰囲気をぶち壊されてとてもじゃないが続きなぞ出来る訳もない筈だったのだが、









「……続きはまた、今度ね。
お休みなさい、兄様」







そう言って、軽く頬に口付けた。








「〜〜〜っ!イリアっ!?」


「じゃ、また明日っ!」







恥ずかしさのあまり、真っ赤になった顔を隠すように布団を頭から被ってベッドに潜り込む。







――私ばっかり驚かされてたんじゃ、不公平だもん。


だからこれは、私からのささやかな、お返し。


明日からももっともっと、驚かせてあげるんだから。


覚悟しててね?私の愛しい人……。






これからの二人の未来図を頭に思い描き、暖かな気持ちで眠りにつくのであった。








〜Fin〜








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あきゅろす。
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