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Zill O'll infinite
星空の向こうにB
「あの夜も、こんな風にして座り込んでさ。こうやって星空を見上げたわよね」


「そうそう。あの時は父さんと三人でさ。あの時は木陰じゃなくて、草むらに潜んでたっけ」


「ふふっ。確か畑荒らしの犯人をとっ捕まえようとしてたのよね。私達、眠たいのを我慢して父さんに無理してひっついて行ったんだったわ」


「結局、犯人はお腹を空かせたゴブリンの親子だったよな。
姉ちゃんってば容赦なく懲らしめようとしてたけど、父さんに必死で引き止められてさ」


「……あれが、父さんとの最期の思い出よね」


「そうだな……あの時も俺達に心配かけないようにって、病気で苦しいのを見せないようにして……」


「うん……最期まで立派だった」





大好きだった父さん。


あの夜を最後に、父さんは私達を残してこの世から去って行ってしまった。


いつから病を患っていたのかは分からない。私達に心配をかけまいと、苦しい筈なのにそれを押し隠して、いつも大好きなあの笑顔を向けてくれていた。


あの夜が明けて。寝台の上で憔悴しきった父さんは、私に弟と畑を頼むと、いつもと変わらぬ優しい笑顔でそう告げて。
私が泣きながらもしっかり頷くと、父さんは安心した様にまた微笑んで。


そうして、安らかな顔で永遠の眠りについた――





「あれから、もう五年も経つのね……」


「早いもんだよな……つい最近の出来事の様な気がする」


「それだけ、色褪せない思い出っていう事なのよ」


「そうだな。父さんとの思い出は、絶対に忘れない」


「うん……」


そうして、また星空を見上げる。
あの夜と同じ、今にも降り注いできそうな輝く無数の灯りたち。


「ねえ、人は死んだら星になるってよく言うじゃない。ならあの中の一つが、父さんだったりするのかな」


「うん、きっとそうだ。いつまでもずっと、俺達の事を見守ってくれてるんだよ」


「……そうよね、きっとそうよね。ずっと私達を照らしていてくれてたのよね……」


私の名前を呼ぶ、父さんの声が頭の中に蘇る。


懐かしい声。それは私の胸の中でいつまでも、色褪せぬまま鳴り響いて。


「……おい、姉ちゃん。まさか泣いてるのか?」


「な、何よ……私だってそんな時くらい、あるわよっ……」


「……そっか。そうだよな。いつも強そうに見えたって、姉ちゃんも女の子なんだもんな……」


じゃあ、今くらい思いっきり泣いてもいいよ。
そう言って私の頭にぽんぽんっと手を乗せるその様子が、何だか父さんによく似ていて。


嗚咽が込み上げてきたけれど、私はもう堪えようとはしなかった。
この子も何も言わずに、私が泣き止むまで、傍にずっと居てくれていた。





そして、不意に。




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あきゅろす。
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