Zill O'll infinite 朔月狂夢@ それは訪れたかもしれない運命。 私の両の手に握られた二振りの剣が、銀色に煌めく。 途切れ途切れの記憶。 朦朧とした意識の中。 視界が闇色に染まる。 誰かの悲痛な叫び声。 ああ、それが私の悲鳴であると気付いた時は既に、私の刃は貴方の胸を、正確に刺し貫いていた……。 「これでいい」と貴方は言った。 お前を苦しめるだけの存在になりたくはない。だから、これで良かったのだと。 「愛している」最期にそう囁いて。 私の胸の中で逝った貴方の身体は、この世界の何よりも、冷たい、冷たいものに感じられた……。 ああ、何故護り切れなかったのだろう、誰よりも愛しい存在を。 よりにもよって、愛する人をこの手で殺めてしまった! 私の中で何かが壊れ落ちる音がした。 ――貴方の居ない世界で、私はどのように笑えばいいの? 愛する人を拒んだこの世界で、私はどのように生きていけばいいの? ――もう世界なんて、どうなったって構いはしない。 愛しい貴方の……貴方の居ない世界なんて―― [前へ][次へ] |