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Zill O'll infinite
My Dear@
「ねえねえそういえばイリアってさ。好きな人とかっていないの?」


ある日の昼下がり。


いつもの様に、イリアが仲間達と酒場で腹拵えをしている最中に、不意にエステルが口にした話題がそもそもの原因だったのかもしれない。


「また大胆な事を聞くわね、エステル……でも私も是非聞きたいわ。
あなたってばその手の話にとっても疎いんだもの」


そう切り返したのはアイリーン。興味津々といった様子でイリアの顔を覗き込む。


女の子が三人も集まれば、自然にそういう話題になるものだが、


「そんなの決まってるじゃない!一番はもちろんチャカでしょ、それからアトレイアにゼネさんに、カルラにザギヴ、でもってナッジとヴァンでしょ。セラにロイに、ルルアンタに双子でしょ、デルガドさんにイオンズさんに、フェティにユーリス、それからそれから……」


「……いや、ボク達が聞きたいのはそーいう事じゃなくってね……」


「あっ、もちろんエステルもアイリーンも大好きだからねっ!大親友だって思ってるから!」


「そう言ってくれるのは凄く嬉しいわ。嬉しいけど、今私達が聞きたいのは、あなたが恋愛対象として好きになった人の事なのよ!」


痺れを切らしたアイリーンが畳み掛ける様に言い放つ。


「あっ、そうだったの恋愛の相手ねー!



……って、えええぇぇ!?」


「反応がベタすぎるよ、イリア……」


やれやれといった感じでエステルが呟いた。


「しかも一番があなたの弟って……」


「やっぱブラコンなんだねぇイリアって」


「……っ!いいじゃないの別にブラコンでも!だってずっとあの子とは一緒にいたのよ!当然じゃないっ!」


「あ、認めちゃった。でもそうやって話題を逸らそうったって無駄だよ!
さあっ、今ここでしっかりばっちり喋ってもらうからねっ!」


「うっ、バレたか……で、でも何でいきなりここでぶっちゃけないといけないのよ!」


「私達大親友だったんじゃなかったのかしら、イリア?」


「うぐうっ……で、でも私にはそんな人は」


「何言ってるの。あなた最近妙に女の子らしくなっちゃって。
これが恋じゃなくって何だって言うのよ?」


「あ〜バレちゃった、みたいな顔してさ。
イリアって本当嘘吐けないよね。すぐ顔に出ちゃうんだから」


「なっ……」


ぺたぺたと自分の顔に手を当て表情を取り繕おうとするイリアだったが。


「本っ当ーに、分かりやすいよね、イリアって……」


「我が親友ながら将来不安になってきたわ……」


はぁ、とこっそり溜め息なんかついてしまうエステルとアイリーンである。
恋愛に関しては疎すぎて、自分達より年上の少女ながら妹の様に感じられ、放っておけないと、そんな気持ちで。


「……どうしても教えてくれないって言うんなら、ボク達が当ててみてあげるよ!」


「や、止めなさいよそんなっ……でもあなたたちに分かるかしらねっ?」


「言ったわね。見てらっしゃい、必ず言い当ててみせるわよ!」


(うっわぁ、藪蛇っ!)


こうして何故かイリアの好きな人の当てっこ大会が開かれてしまったのだった。


……イリア達の近くに座った人物が耳を澄ませて必死に会話を聞いている事など、話に夢中な彼女達はさっぱり気付いてはいなかったのだった。







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